第21話 詩篇

私は泣かない、あなたが私を残して逝こうとも

ここには愛すべきものは何もない

そして暗い世界が私を二倍悲しませるだろう

あなたの魂が向こうの世界で苦しんでいる間に


私は泣かない、なぜなら夏の輝きは

いつも必ず暗い闇の内に終わるから

一番幸福な物語の最後を見るがいい―—

それは墓でとじられるのだ!


魂の苦悩を見守るのにも疲れ果てた

冬の来るごとにいや増すばかりだ

死の絶望に覆われた長い年月

魂が苦しむのを見るだけで嫌になる


そう、もしかして一粒の涙が、死にゆくあなたの上に

私の目からこぼれることがあるとしたら

それは私の魂がため息をついているだけ

もうあなたとともにいって休みたいと

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