巻き戻りで取り戻す復讐と憎悪のシンフォニー
オーバエージ
第1話 金の玉子コンテスト
ティーファが夜に目を覚まして窓を覗くと、帝国の城付近で花火の大群が打ちあがっていた。
帝国歴366年を記念するパーティーが行われている事にボーっと気づいてゆく。
そうだ!コンテストがあるんだった!ティーファは棚にあるククリナイフを取り、急いで宿屋を後にしようとした時。
「晩御飯、もうすぐだよ!」
宿屋の主人が鍋を抱えて声を掛けてくれた。
「ううん、急いでるから今日はいらない」
そう言って宿屋のドアを勢いよく開け、外に飛び出した。
生まれつき足の速いティーファは、人をかきわけあっという間に帝国城前まで辿り着いた。帝国城の壁に寄り添うように出店が並んでいる。まだまだ稼ぐつもりでいるらしい。人込みもすごかった。
ティーファはコンテストを探して人込みをかきわけた。もう終わっているのか?そうだとしたらショックだが、寝すぎた自分が悪いので自業自得である。
しばらく歩いていると、向こうにかすかに光が見えた!コンテストでありますように。
ティーファの願いは叶い、そこはコンテスト会場だった。
金の玉子パーティーコンテストは、特筆に値する技能でもって敵を倒し、帝国側の太鼓判をもらった者を職業別で選別し、合格者でパーティーを組み、ダンジョンに挑もうというものだった。12歳になったティーファは、参加要項に合う年齢になったので、早速参加しようというわけだ。
「はいはいはいー!参加しまーす!」
ティーファは威勢よく声を上げた。
「…何歳だ?」
帝国軍受付はいぶかしげにティーファは訊ねる。
「12歳です!盗賊で参加します」
「…ここに必要事項を書け」
帝国軍受付から渡された紙に必要事項を急ぎで書いていく。字は汚い。
「さっそく参加してもらう。おーい!敵を用意しろ!」
「了解!」
審査はすぐに行われた。出てきた敵は、花のようで、下を蔦のようなもので支えている非常に気持ち悪い敵だ。
「戦闘開始!」
敵は蔦を伸ばしてティーファにいきなり攻撃をしかけてきた。そこを大ジャンプでかわし、吹き矢を吹いて花に命中、敵は毒を受けた。帝国軍審査員が唸る。地面についたティーファはククリナイフを左右に振った。残像のようなものが現れ、花を一気に切り裂きあっという間にやられてしまった。帝国軍審査員はスタンディングオベーションをする。
「へへ…やったね!」
審査員はこそこそと話した。
「…彼女は何歳なんだ?」
「12歳だそうです」
「なんだって?」
「…決まりですな」
こうして一般審査は締め切りを迎え、花火が打ちあがる中、表彰が行われた。
ティーファは一瞬誰かに髪を撫でられた気持ちになったが、気のせいだろう。
「金の玉子コンテストの表彰を始める!戦士部門、ティーン・ラッセル君」
「やりぃ!!」
ティーンは喜びながら壇上に上がった。
「魔導士部門、サクラ・ホンデュ君」
「僧侶部門、ロロ・ウェンディ君」
「同じく戦士部門、ラッセル・グロウ君」
「士気向上士部門、ザッセン・ララ君」
「盗賊部門…」
ティーファは息を飲んだ。
「ティーファ・フォージャー君」
「やったあ!」
ティーファは素直に喜んだ。日頃の鍛錬が実を結んだ。
壇上に合格者が一斉に並んだ。
「諸君らにはそれぞれ5000ウーロンを与えるので、それぞれパーティーを組み、ダンジョンに挑戦し、鍛錬を重ね、いづれは最深記録で表彰されるまでに成長してほしい。以上!」
「へへ、宜しく頼むぜみんな」
戦士ティーンは気安く声を掛けて来る。ロロがなぜか何者かにビンタされ、片頬は腫れている。
「一体どうしたのかしら…」
そうして私たちは、パーティを組み、ダンジョンに挑むことになったのだ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます