白鳥の来る頃

 第13回のお題は「白」です。1/06(土) 21~23時


 歩いていると、ふと上から聞き慣れない声が聞こえて立ち止まった。

 見上げると、白鳥がゆっくりと通っていた。

 彼らが来ると、冬の訪れを感じる。

 飛んでいる様子を見ていたら、白鳥がどんどん近くなってくる。

 戸惑っていると、白鳥たちは近くの田んぼに降り立った。

 見たことのある光景ではあったが、ついスマホを取り出して写真を撮っていた。

 それ以来彼らの姿も見ず、しばらく経った頃のこと。

 まだ厚手のコートを着て、寒さに震えながら歩いていると、鳴き声が聞こえてきた。

 もしかして、と上を見上げれば、悠然とした姿で、複数の白鳥が飛んでいる。

 その行く方向は、北だ。

 彼らは戻っていくのだ。

 そしてこの地には、春が来る。


(291文字)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る