白を、塗る

第7回のお題は「朝」。7/1(土) 21~23時



 俺が住む孤児院は、いつも朝食の前に朝礼がある。

 朝日が差し込んで白く染まる部屋、壁も床も白く、誰もいない広い食堂。

 そこを埋め尽くすように、孤児院の子どもたちが入ってくる。

 この日は、つい先日母親をなくしたばかりの子の紹介をされた。

 新しい子どもには、俺は興味を抱く方だった。

 だが、俺はその子とうまく話せなかった。

 俺の友達が、ついこないだ病気で死んだから。

 あいつが死んだから、あの子はここに来れた。

 そうして、空いたところは塗りつぶされていくのだ。

 まるで、白かったところなどなかったように。

 塗りつぶされると、皆忘れていく。

 今日もそうして、朝日は昇り、日が傾いて沈む。

 ただの一日が過ぎていく。


(290文字)

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