白を、塗る
第7回のお題は「朝」。7/1(土) 21~23時
俺が住む孤児院は、いつも朝食の前に朝礼がある。
朝日が差し込んで白く染まる部屋、壁も床も白く、誰もいない広い食堂。
そこを埋め尽くすように、孤児院の子どもたちが入ってくる。
この日は、つい先日母親をなくしたばかりの子の紹介をされた。
新しい子どもには、俺は興味を抱く方だった。
だが、俺はその子とうまく話せなかった。
俺の友達が、ついこないだ病気で死んだから。
あいつが死んだから、あの子はここに来れた。
そうして、空いたところは塗りつぶされていくのだ。
まるで、白かったところなどなかったように。
塗りつぶされると、皆忘れていく。
今日もそうして、朝日は昇り、日が傾いて沈む。
ただの一日が過ぎていく。
(290文字)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます