【和風F】【中華F】『新陰陽道叢書 古代』から、古代の天文学や若杉家文書の話など。
前回の記事でもご紹介した『新陰陽道叢書』。
2020年時点の一線級の研究者様の論文が読めるだけでなく、それまでの研究史や参考文献についても情報が豊富で有難いです(定価が9000円もするのでなければ買いたいくらいですw)
ここで、特設サイトから、『新陰陽道叢書 古代』の内容紹介を引用しておきます(
※1)。
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■内容目次■
第一巻 古代
総論 古代陰陽道研究の成果と課題(細井浩志)
Ⅰ 「陰陽道」概念と陰陽道の成立
「陰陽道」概念と陰陽道の成立について(細井浩志)
法師陰陽師と平安時代中期の民間呪術的職能者たち(繁田信一)
日本古代の陰陽道と神祇信仰・仏教(山口えり)
Ⅱ 占い・呪術・方違え
古代陰陽道の占いと物忌(中島和歌子)
式神の実態と説話をめぐって(山下克明)
陰陽道祭祀について(宮崎真由)
陰陽道の方違えについて(詫間直樹)
Ⅲ 陰陽道の制度
陰陽頭と「陰陽師第一者」 ―十世紀から十三世紀初頭に於ける陰陽頭の位置―(中村晃子)
陰陽道の組織と秩序(高田義人)
Ⅳ 暦・天文・漏刻
日本古代の天文知識 ―高松塚古墳・キトラ古墳の天文図―(宮島一彦)
符天暦法の復元(竹迫 忍)
日本暦法史への招待 ―宣明暦と貞享暦を中心として―(大橋由紀夫)
中国古代における天文思想(田中良明)
古代日本の漏刻と時刻制(木下正史)
Ⅴ 史料論
古代東アジアの術数書について(水口幹記)
考古資料と陰陽道(門田誠一)
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総論からⅢまでは日本の陰陽道が中心ですが(中国の太史令などとの比較もちょこちょこ出てきますが)、Ⅳ「暦・天文・漏刻」あたりは日本だけではなく東アジアについて共通する部分が多いように思います。
日本の高松塚古墳やキトラ古墳には星図(天文図)がありますが、こういった古墳天文図は朝鮮半島や中国にもあり、論文「日本古代の天文知識」の中に、ざっとしたリストが挙げられています。
中には新疆吐魯番阿斯塔那(トルファンアスターナ)唐墓星象図なんてのも。
頑張って読んでいますが、鷲生はそもそも近代的な天文の知識も今一つあやふやなうえに中国のそれには全く不案内なので……。
参考に上がっていた別の本にトライしてみようかと思います。
大崎正次1987『中国の星座の歴史』(※2)
橋本恵三1993『中国占星術の世界』(※3)
どちらも京都府立図書館にあるのだそうで、借りに行こうかと思います。あ、ついでに『日本的時空観の形成 』(吉川真司・倉本一宏/編 2017年)も読みたいです。
ただ、ここのところ京都は毎日雨か酷暑かなので……府立図書館まで地下鉄に行くにせよ自転車で行くにせよ、ちょっと覚悟が必要ですw
一方、これらの本をネットで検索したところ、『古代の星空を読み解く キトラ古墳の天文図とアジアの星図』(中村士)という本が市立図書館にあるのが見つかりました(※4)。
まずは最寄の市立図書館でこの本をゲットするのが先かもしれません。
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今日は「古代東アジアの術数書について」を読んでいたら、「京都在住の若杉家(陰陽家土御門家の家司数家の一つであったという家柄)で発見された資料群」について言及がありました。
その中の「星官簿讃・日月星災異卜記」は、遡れば中国の正統的天文書の系譜を引いているとのこと(『新陰陽道叢書 古代』546頁)
これを含む若杉家の文書は京都府に寄贈され、今は「京都府立京都学・歴彩館」のWebサイト(※5)で公開されているのだそうです。
「京都府立京都学・歴彩館 京の記憶アーカイブ」https://www.archives.kyoto.jp/
このサイトで「若杉家文書 石氏簿讃」「若杉家 雑卦法」で検索すると当該の史料の画像が見られます。
「若杉家 雑卦法」で検索して出てきた6枚目の画像がこれです↓
https://www.archives.kyoto.jp/websearchpe/mediaOriginal?cls=112_komonjo_catalog&pkey=0000031103&lCls=110_media_komonjo&lPkey=0000000257
陰陽道っつーたらコレという非常に有名な画(この『新陰陽道叢書 古代』の表紙にも使われている画像)もここで見られます。
「小反閇作法」で検索して3枚目です。
https://www.archives.kyoto.jp/websearchpe/mediaDetail?cls=112_komonjo_catalog&pkey=0000031057&lCls=110_media_komonjo&lPkey=0000000121&detaillnkIdx=1
この歴彩館、鷲生もしょっちゅう利用してますし、また、鷲生がよく足を運んでいる京都府立植物園のすぐ東隣です(アジサイ園と隣接してます)。
鷲生にとってはこんなに身近な場所が中国古代と繋がっているなんて……とちょっと感慨に耽っているところです。
っつーても、文書そのものを見ていても何が書いてあるのかさっぱりわからないので(泣)、まずは先に挙げた参考本を市立図書館や府立図書館(これは歴彩館や植物園とは別のエリアにあるんですよ……)に借りに行かなくては!です。
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※1 新陰陽道叢書(全五巻)特設ページ|名著出版
https://sites.google.com/view/shin-onmyodo/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0
※2『中国の星座の歴史』大崎正次1987
https://www.yuzankaku.co.jp/products/detail.php?product_id=8922
※3『中国占星術の世界』橋本恵三1993
https://www.toho-shoten.co.jp/toho-web/search/detail?id=4497923703&bookType=jp
※4『古代の星空を読み解く キトラ古墳の天文うとアジアの星図』中村士 2018
https://www.utp.or.jp/book/b378014.html
※5 京都府立京都学・歴彩舘
https://rekisaikan.jp/
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