青年期 136
その後、暗くなる前になんとか村に到着できたので…少女達の事を団員達みんなへと伝えさせた。
「…さーて、変装させるにしたってどうしたものか…」
「要は過激派の連中にバレないようにすればいいんだろ?」
「うーん…髪型や服装を変えるだけでは難しそうですね…」
女性の団員達を集めて俺が腕を組みながら呟くと女性が確認するように尋ね、お姉さんは二人の少女を見ながら呟き…
「化粧だけじゃ注意深く観察されるとバレそうだし…」
「いっその事顔を隠してみるとか?」
「それじゃ余計に怪しまれるよ」
女性の団員達はそれぞれ意見を出して話し合う。
「顔を隠す、か…いいかもしれない。逆に性別を隠して男っぽい感じにすると結構誤魔化す事が出来るかも」
「なるほど!」
「確かに」
「そう言われてみると…!」
女性が団員達の意見を取り入れて提案するとお姉さんが意外そうに賛同し、俺も納得して返すと他の団員達も賛同するような反応を見せる。
「じゃあ頭にバンダナを巻くとか?」
「…うん。良いかも」
「口元を隠すためにマフラーを巻くのもどうだろう?」
「おー!いいね!」
「だったらバンダナじゃなくてフード被った方が良くない?」
女性達は少女達の変装について盛り上がりながら話し合いを進めていく。
「…とりあえず変装については任せたよ」
「ああ。任せときな」
俺のお願いに女性が笑いながら了承するので俺は宿を確保しに行く事にした。
…そして翌日。
「…お」
朝早くから出発するために日が昇る前に宿屋から出てみんなと合流すると、少女二人の変装が完了しており…
どこからどう見ても初見では中性的な見た目の傭兵だかハンターにしか見えない外見になっている。
「これなら見た目でバレる事はなさそうだ。防具を着けさせて身体を隠すのは良い考えだね」
「ふふん、あたし達はみんな防具を着けているからね。二人だけ着けてないと不審に思われないかと思っただけさ」
俺が褒めると女性が得意げに話し出した。
「おおー、こういう発想や知恵があって機転が利くと戦場でもいざと言う時に役に立ちそうだから助かるよ」
「そ、そうかい?」
更に褒めると女性は照れたように謙遜するかのような感じで返す。
「まあとりあえず本来ならあり得ないんだけど…今回は特例って事で、しばらくは傭兵団の見習いとして頑張ってもらうけど大丈夫?」
「「はい!」」
俺の確認に少女二人は元気よく了承する。
「じゃあ…どっか適当なところと一緒に行動してて」
「適当なところ…ですか?」
「だったら僕のところにおいで。移動時はリーダーに近い位置だし、隊列の真ん中あたりにいれば外からじゃ絶対に気づきようが無いし」
俺が適当に指示を出したら少女の一人は困ったように団員達を見ながら呟き、隊長の一人が引き受けるように呼んで理由を話す。
「あ、はい。よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
「うん。こちらこそ」
「んじゃ、行こうか」
少女二人は挨拶をして隊長の一人の後について行き、俺が出発の合図をして馬車に乗り込むとみんなも行動に移し始めた。
そして5分もしない内に目的地である都市に向かって移動を開始する。
「…本当に引き取りに来ますかね?」
「来るんじゃない?じゃないと依頼を途中で投げ出したって事になるから、報酬が貰えないだけじゃなくて評判とか信用がガッツリ落ちるだろうし」
「…一度依頼に失敗してますし…気にするとは思えないですけど…」
お姉さんの疑問に俺が肯定しながら理由を話すもイマイチ納得してないように呟く。
「実際挑戦して失敗する分には問題無いでしょ。前回のは俺らがイレギュラーだった、ってだけでアッチに落ち度のある失敗じゃないし」
「そうですか?」
「分かり易く言うなら…そうだな…シーカーが依頼で調査に向かったダンジョンが運悪く異界化してたので、調査は無理でした…みたいな感じで失敗したようなもんだよ?」
「…なるほど。それは確かに失敗しても仕方がないので責められませんね」
俺が説明するもお姉さんはやっぱり納得いかないような感じだったので、理解し易くするために例え話をするとようやく納得してくれた。
「そもそもちゃんと俺らと戦って負けての失敗だから…戦わずに逃げるよかまだマシだと思う」
「…失敗は失敗なので当然報酬は貰えませんが、周りの評価や信頼はあまり下がらないかもしれません」
「俺らの強さを分からないアホ共が騒ぎ立てるだろうから少しは下がると思うけど…多分あの人達からしたら誤差の範囲でしょ」
「今回もちゃんと依頼を受ける事が出来たみたいですからね…」
俺のフォローにお姉さんは考え直すかのように言い、俺が予想しながら返すとお姉さんも賛同するかのように呟く。
「しっかし、そう考えたら他国の令嬢誘拐の依頼の次が自国の要人を逃すための護衛って…ギャップがすげぇ」
「全くの真逆ですし…どうやってそんな依頼を受けたんでしょう?」
「…さあ?穏健派にツテがあるか、名が売れてるかのどっちかだろうね」
俺がふと思った事を言うとお姉さんは微妙な感じで笑いながら不思議そうに聞き、俺は適当な感じで予想する。
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