青年期 24

…そしてギルドに行って紹介状を返却してもらっての二日後。



どうやら騎士団は次に傭兵達が集まるのを待てなかったらしく予定を早めて奇襲作戦を敢行するようだ。



「…騎士団が動いたね。遠回りしての山越えに一日半ぐらいはかかるかな?俺らの出撃は三日後ぐらいになるかも」


「…そうか。腕がなるな」


「一応契約交渉は騎士団が完全に離れた明日あたりに行ってみるよ」


「分かった。頼んだぞ」



俺が知り合いのハンター達に報告すると素振りをしていた男がニヤリと笑って返すので…



傭兵としての仕事についても話すと他のハンターが腕立て伏せをしながら託すような感じで言う。



その翌日。



この城塞に留守番…防衛を任された騎士の所に出向いて俺ら傭兵との再契約の話をするとアッサリと了承してくれた。



なんでも戦力は一人でも多い方が良いんだとか。



なので俺は奇襲に向かった騎士団が危ないという予想の話をして、その場合に実行する作戦について説明した。



「…なるほど…しかし上手くいきますか?」


「そこはやってみないと分からないです。状況や戦況が常に予想通りに進む、というワケではないので」


「…確かに……でも…」



地図を見ながらの参謀のような騎士の確認に俺が不確定である事を告げると否定的な雰囲気を出して呟くので…



「まあでも例え砦を落とす事が出来なくとも騎士団が逃げる時間や隙を作る事はできると思いますよ」



俺はヤバイ!と思って説得するように成功率の高い成果の一つを伝える。



「…なるほど。敵が砦を守る事を優先してくれれば騎士団が撤退する隙が出来る…分かりました、作戦を許可しましょう」



すると騎士は納得したように呟いて了承してくれた。



「ありがとうございます。もし砦を制圧できた場合、我々傭兵部隊だけでは防衛は不可能なので兵を貸してもらえないでしょうか?」


「…分かりました。ですが、この城塞の守りを考えると…砦には3000名ほど居れば十分守れると思います。なのでそれ以上の人数ともなると即答しかねます」



俺はお礼を言った後に正規兵を要求すると、騎士は少し考えて人数制限をかけるような条件を提示して来る。



「十分です。あと、監視塔の使用の許可も欲しいのですが…」


「…監視塔、ですか…」



…俺が人数について了承した後に更に要求を増やすと、流石の騎士も難色を示すような表情になった。



「…臨時許可証を渡しましょう。後で兵に区画まで持って行かせます」


「ありがとうございます」



流石に無理か…?とも思ったが、なんとか要求が通ったようなので俺はお礼を言って傭兵仲間の所へと戻る事に。




…それから二日後。




「昨日監視塔から連絡があった!俺ら傭兵部隊は今から行動を開始する!」


「「「おおー!!」」」



昨日の夜遅くに砦の敵兵達に動きがあったので…



俺は日が昇る前のまだ暗い時間に傭兵達を召集して指示を告げる。



「ココから先は昨日一昨日話した作戦通り動く事!状況や戦況に変化があればその都度指示を出す!」


「「「おおー!」」」


「正規兵の部隊は俺達より30分遅れてやって来る!追いつかれないように急ぐぞ!」


「「「おおー!!」」」



俺が指示を出すたびに傭兵達は気合い十分で叫ぶ。



「では行くぞ!出撃!!」


「「「うおおお!!」」」



…正規兵への指示、連絡を任せた知り合いのハンターを一人残して俺ら傭兵部隊は城塞から出撃した。




…砦に向かって進む事、一時間半後。




「ココで待機。俺らが門を開け次第突撃して来てくれ」


「…分かった」



一番近い砦の近くまで来たので矢の届かなそうな距離で一旦止まって知り合いのハンターに指示を出し、俺は他のハンター達5人と一緒に砦へと接近する。



「…なんだ?少数が飛び出て来たぞ」


「敵接近!」


「おっと…えいっ」


「ぐっ…!」



砦の門の所に立っていた兵が鐘を鳴らして合図を出し、矢が降ってきたが俺らは気にせずにそのまま走って近づいて敵兵を倒す。



「敵だ!ココに居るぞ!!がっ…!」


「…門は開かない、か…」


「…流石に敵もバカではないな」



砦の周りを警戒、巡回してた兵達十数人が俺らの所に攻めて来たが全て返り討ちにして増援を待つも中から出て来る様子は無い。

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