3分間の事件
@21wakana.
砂漠の流離人
「困っていたので、助かりました。」
白人青年は、大きなリュックを背負いA街から車ならすぐところにある砂漠で彷徨っているのをひとりの警察官がパトロール中に見つけた。
どうやらこの青年は流離人で、こんなにも広大な砂漠があると知らず少し歩けば抜けれるだろうと思っていたところ、なかなか抜けられず方角もだんだん分からなくなってしまい、ここから抜け出せず困っていたようだ。
「いやー、ほんと助かりましたよ。実は一週間くらい前からこの砂漠で迷ってしまっていて。車があまり通らなくて、通ってもなかなか助けてくれる人はいなくて、ずっと歩き続けてて。」
青年は背負っていたリュックをおろし警察官の隣の助手席に乗り込んだ。
「こんな暑い中一週間ですよ。たまにある日陰に入ったって、夜だって30度くらいはありますよ。」
この砂漠は夏になると陽炎が立つほど暑くなっていた。
リュックからキャンディを取りだし一粒食べると、警察官にも差し出した。
『遠慮する。』
青年は思い出すように尋ねる。
「サイレン鳴らして、誰か追跡中だったりします?」
『ああ。ついさっき、A街にあるショッピングセンターで二人組の男による強盗殺人事件があったらしくてな。白い車で逃げたらしい。そう報告があってな。』
警察官がそう答えると、青年は驚いたように言う。
「え、それならさっき、二人乗った白い車が通ったけど、街と反対方向に走っていきましたよ。」
青年はそう言った。
「車、追いかけないのか?」
『まぁな。』
警察官はそのまま街へパトカーを走らせ警察署に向かった。
そして流離の青年は逮捕された。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます