好き

 本当は好きだったんだよ。そう言うと君は少し困ったような顔をした。

 ああ、なんてひどい人なんだろう。なんでこんな人を好きになっちゃったんだろう。

 ごめんね、と言うと、君は余計に眉を寄せた。

 しょうがないから、忘れて、と付け加えた。

 君はまだ納得がいかない様子で、いつのことかな、とあれこれ思い出しながら考えているけど、そういうところはやっぱり頭がわるくて、愛おしくて、憎たらしくて、わたしはどうしようもなく泣きたくなった。

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