第66話魔王の正体
勇樹さんと一緒にゴールド枢機卿に呼び出された。
「フランも同席して欲しい」と言われたので、私は同席している。
そして、ゴールド枢機卿から語られたのは衝撃の内容だった。
「魔王が瘴気の集合体……?」
「そう」
「……瘴気の浄化はされています。集合体といわれても……」
魔王が瘴気の集合体?
どういうことなの?
私は訳が分からずに混乱してしまった。
各国に聖女はいるし、神官だっている。
彼女たちが浄化作業を怠るとは思えない。
「フランの考えていることとはちょっとばかし違うんだよ」
「え?」
「瘴気は聖女たちが浄化している。それは間違いない」
「なら何故……?」
「う~~ん。なんて説明すればいいのかな?この場合、ゴミ箱にゴミが溜まっていく感じ?」
「はぁ!?」
ゴールド枢機卿は説明が下手クソすぎる。
もっと分かりやすく説明して欲しいのだけど……。
ゴミが溜まるってなに!?
「……つまり浄化された瘴気という名前のゴミは一か所に集まっているということですか?」
迷いながらも勇樹さんがゴールド枢機卿の言いたいことを汲み取ってくれました。私にも分かりやすく要約してくれたのです。
「そう!そんな感じ」
ゴールド枢機卿は嬉しそうに頷きました。
この人、本当に大丈夫なのかしら?
「つまり、聖女が浄化した瘴気は一か所に集まっていてそれが漏れ出して魔王になったということでしょうか?」
「あ!残念!ちょっと違うんだな~~。正確には『一か所に集まった瘴気が満タンに溜まってしまった』って感じかな」
「「???」」
「う~~ん。なんて言えばいいのかな?満タンに溜まったゴミ箱があるとする。そこにもうゴミは入らない。なら満タンのゴミを除去する必要がある。新しいゴミを入れるためにね」
「「????」」
ゴールド枢機卿がなにを言いたいのか私にはさっぱり分かりませんでした。
勇樹さんも首を傾げて考え込んでいます。
「つまり、ゴミ箱を除去するために勇者が召喚されるということですか?除去するには異世界の人間でなければならない。もしくは、この世界の人間には除去することができない。だから異世界の人間を呼びだす?」
「あははは!呑み込みが早いね。勇樹くん」
え?
今ので分かったの? 私は全然、分からないんですけど!
「つまり、魔王はゴミ箱に溜まったゴミってことですか?」
「そう。それが形になって現れるんだ。そして、ソレを除去できるのは異世界人だけってわけ」
「だから勇者という名目で召喚すると?」
「うん。そういうことだね」
「なるほど。だから魔王が現れたのが島だったんですね。魔王が滅んだあと、その島は忽然と消えた。あの島自体がゴミ箱だったわけですか」
「そうなるね。僕も詳しいことは分からないけど、周期的に魔王が現れる。前回の時も同じように島ができて魔王が誕生した」
「勇者というより除去作業員ですね。納得しました」
「それはよかった」
勇樹さんは納得したようです。
私はというと……ヤバい話を聞いてしまって、まだ頭が混乱中です。
これ、私たちが聞いても良かったんでしょうか?
どう考えてもまずいのでは?
「このことは知っている方はいますか?」
「六人の枢機卿と、枢機卿団の極一部。そして今話したから君たち二人も付け加えないといけないね」
「聞いてよかったんですか?」
「もちろん。他言無用だよ」
「分かりました。それでもう一つの質問ですが……」
魔王の正体以上に肝心な話。
主に召喚された勇者たちに関する話でした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます