第42話ゴールド枢機卿視点1
ロベール王国には何の思い入れはない。
正直、どうなろうと構わないんだよね。
面子を潰された枢機卿団はカンカンだから、下手をすればロベール王国の終焉って可能性は大いにある。別にそれでもいいけど周辺国はそうもいかないようだ。
難民が嫌らしい。
「なら国民にすればいいのに」
「猊下……」
「難民が嫌なんだろ?なら自国民にしてしまえばいい」
「それはそれで問題です。昨日まで他国の人間だったんですよ?ロベール王国人だって納得しません。それに彼らを受け入れた国の民だってそうです。今日から同じ国民だと言って、はいそうですか、と受け入れられる者は少数でしょう」
「はぁ~~……ほんとメンドクサイ。なら、新しく国民になるロベール王国人を二等国民にしてしまえば?」
「……」
「それで、数十年くらい様子見て、一等国民にすればいい」
「世の中、そう上手くはいきません。そう簡単に祖国を捨てられる者は少ないでしょうからね」
「ちぇ……」
本当にメンドクサイ。
国民感情ってやつ?
僕はよく分からない。
千年生きてるから国なんて亡ぶときは簡単に滅ぶ。土地に執着していたら生き残れない。
……極たまに例外はあるけどさ……。
それとは別に、ロベール王国の国王夫妻、先代国王たちの涙ぐましい努力を一瞬で木っ端みじんにしようとした王太子に怒りの矛先が向いている。まぁ、無理もない。
地の底に落ち込んだ信用を地上にぴょこんと飛び出した段階の時にやらかしたんだ。まさかここにきて考えなしの無鉄砲な王太子が現れるとはね。
この王家、呪われているんじゃないかな?
話し合いは延々と続いた。
ロベール王国側はしつこかった。
全面的に非を認め、謝罪し、その上で再構築を図りたいと願った。
……なんで?
え?
再構築?
無理じゃない?
王太子の教育に失敗したのも、王太子に監視を付ける事を怠ったのは彼らの落ち度だ。
今まで真面目に過ごしていたから大丈夫だと思った?
学園内で厳つい面の護衛がぞろぞろ王太子を
それって僕達に関係ないよね?
君達の都合に合わせる気なんてサラサラないよ。
ロベール王国が対処に遅れたのは、王太子に対する信頼があったせいか、それとも学園に配慮したせいか。はたまた別の理由か。とりあえず。口止めするにしても場所がね。学園のカフェテリアじゃあ、誰が見ていたのか分かんないもんね。
僕の代わりとして会議に出ていたブロンズからの話を総合すると、こんな感じだった。
結局、その日の話し合いは平行線のまま終わった。次の日も同じやり取りが続いた。
そして更に次の日も――
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