第17話眠り姫2
結果から言うと、無理でした。
王家には「金」がない。
金満の我が家を手放すわけありませんよね。はい、分かっていました。
私は仕方なしに婚約者の王太子と仲良くなって死亡フラグを折ろうとしたものの、無理だった。というか王太子は何で私が婚約者に選ばれたのか理解してなかった。言えよ!
だから?それとも性格?
俺様だった。
なんていうか自己中。
このままじゃ、破滅だ!!
自分が「悪役」と分かった以上は最善を尽くす。
誰だって死にたくない。
普通に生きて幸せになりたい。
高望みはしない。
そこそこ美形で、そこそこ優秀で、そこそこ権力のある家に嫁ぎたい。
この際、嫁がなくてもいい。
生きたい!!
人は足掻く生き物!!
幸いと言っては何だけれど、家族仲は良好。
流石に「私、生まれ変わっているの。だからこれから起こる事を知っているのよ」とは言えない。そんなことを口にすれば間違いなく精神的におかしな子供と思われるのは分かり切っていた。だからこそ、「怖い夢をみたの」を幾度となくやった。
そうすることで両親や兄に危機感を抱いて欲しかったし、はっきり言ってそれ以外に出来る手段がなかったともいえる。
そうして、何故か私は『聖女候補』となった。
まって、何故?!
聖女って何?!
混乱しました。
ええ、それはもう。
この世界は、学園恋愛もの。
それも貴族のみが通う事を許された学園での恋愛。
授業風景も高度な紳士淑女の養成学校といったもの。
魔法世界ではなかったはず……はず。
私は勘違いしていたのです。
確かに人間は魔法が使えません。
ですが、極一部の限られた人間は『神』から祝福を与えられ不思議な力を授かるそうです。
もっとも、そう言った人々は神殿に使える者が多く、またそうでない場合も何らかの形で神殿に関わっていました。
家族は私を『祝福を受けし者』と思ったそうです。
違います。
勘違いです。
けれど、その勘違いを正すには私の前世を話す必要がありました。
話せるはずがありません。
如何に『神』が存在する世界と言っても『輪廻転生』まで信じてくれるとは思えなかった。一応、この世界にも『輪廻転生』を信じている人々はいる。けれどそれは神話世界の話ということで実際は全く信じていないというもの。
こうして、私はこの勘違いを正さなかった。
我が身の命が大事。
これに尽きたのです。
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