宵闇の 社に灯る 花明り 散る花びらに 重ねる姿

灯りが揺れて

照らし出された花びらもまた

ゆらゆらと揺れる


月の白と

灯りの赤とで

頬を染めたように色づく花は

照れた頬を陰に隠す


ひとひら

隠れ損ねた花びらが宙を舞い

慌てて灯籠を横切って


不意に灯火を背負った影が

真白い姿の向こうにぼんやりと浮かび

黒髪が靡き翻ったように視界をかすめると

その向こうには小さな火を湛えたままの灯籠がひとつ


風がそよぎ

独り散った花びらを追って

桃に染まった花びらが舞う


あるはずもないのに

さく と

どこかで砂利を踏みしめる音がした

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