当たり前こそが『彼女』の日常である。_放課後(1)
「………星川先生」
「なんですか?」
「俺、何度も言ったよな?強制に食べさせるのはどうか、と言ったはずなんだが……」
「ゴリ田先生、何言ってるんですか?子供には最後まで食べるようにするのが常識ですよ。アレルギーの方は仕方がないですが…」
「いや、そのアレルギーの人に含んでくださいよ。あなたも分かっていますよね?あの食堂の料理人の中に飯マズがいるって」
「駄目ですよ、ゴリ田先生。アレルギーはアレルギー、食中毒は食中毒、例え料理人の中に飯マズの人がいても、その人は頑張ってますから」
「そのせいで生徒が毎回何人も救急送りになってますよ!!!これ以上被害を増やさないでください!!」
とゴリ田先生はそう叫んだ。昼休みが終わった五限目になろうとしているのに玄関はピーポーピーポー鳴りまくる救急車と被害がまた増えたぁぁぁぁぁぁ!とそう嘆くゴリ田先生の惨状である。それを見て現在進行形で困惑している猫乃は
「なんで……なんで……」
と小言で喚いていた。すると、ゴリ田先生の叫びを聞いて生徒がもうすぐ五限目だというのにざわざわとして玄関に駆けつけてきた。
「何があったんだ?」
「まーた、食堂から被害者が出てきたって」
「しかも、今度はあのゲーマーの愛川だって」
「嘘だろ!?あの愛川が……!?」
「ああ、マジだ」
と体育着を盗んだことを知らずに何も今まで何度も飯マズを神回避をした受李がとうとうあの飯マズを食べてしまったことで、それを知っていた生徒達がざわついていたのだった。
「なぁ…杠葉」
「は、はい…」
「本当に愛川がやったのか?これじゃ全然、やったことかどうかも分からないのだが…」
とゴリ田先生の問いかけに、はっと気付かれた猫乃。猫乃は少し焦り
「う、うん……ホントだったよ……」
「そうか?幻影でも見てたの間違いでは?」
「え、先生は私の事を疑っているんですか!?」
「いや、それは……」
「ゴリ田先生、一体どういう事ですか?」
と星川先生がきょとんとした顔で見ていた。そういえば、星川先生が体育着窃盗の事を知らないことに気付いたゴリ田先生は
「それが……」
と先程起きた体育着窃盗の事を星川先生に話したら
「え!?そんな事が……でも、さすがに愛川さんが盗むなんて思ってもないわ……」
「星川先生も!?うぅ……私……嘘なんてついてないのに…」
と嘘泣きをしていると猫乃に惚れられていた男子生徒共は
「そうだよ!杠葉さんの言う通りだ!」
「絶対に愛川の仕業だろ」
「まさか、仮病じゃねぇの?」
と何もしらはずなのに、まるで操られたかのように言いまくる。うわぁ…とドン引きする女子達を気にせずに星川先生はこう言う。
「うーん……その愛川さんを見かけたのは何時ぐらいかしら」
「大体……お昼になってからかしら……」
「あら?それなら私も会ってるわ、食堂で」
「「!!」」
と星川先生以外の一同がそれぞれ方向を向いていたはずだが一気に星川先生に視線を向いた。すると、猫乃があたふためいては
「う、嘘でしょ……?まさか、先生も関わって…」
「え?私、更衣室なんて行ってないわ」
星川先生は何を言ってるの?とまたきょとんとした顔をして
「これは本当よ。それに更衣室なんて今日は行ったことはないわ」
と首を横に振った。そして、言う間もなく星川先生は続けた。
「私、食堂に向かう時メニューを見つめてる愛川さんを見かけたわ。何やら真剣な表情でね……そしたら、覚悟が決まったかのように食堂に向かったわ。確か……カレーを選択をしたわね」
「え!?」
と初音が思わず声を上げてた。そして、
「今日はそのカレーが外れなんじゃ……」
「ええ!?」
ざわつきが収まったはずの生徒らが
「そういえば……俺の友人も、そのカレー食ってたな……」
「まさか、あの愛川が外れたのか!?」
「嘘だろ!?」
と騒ぎだした。それに対し猫乃
「うそ………なんで……」
と小言を呟いた。すると、何も分かっていない星川先生は
「そして、相川さんは私の隣に座ってカレーを食べようとしたら何やらある物を見てしまったのよね…」
「そのある者とは?」
「えっと……そうだったわ。私の目の前で青い顔をした人が泡を出して倒れてる姿がいたわ。その人も愛川さんと同じカレーを注文をした人だったのよ」
「そ、それで……愛川さん」
「私が隣を見ている時は、もう愛川さん顔を青ざめていたのよ。そしたら、愛川さんったら食べずに行こうとしたのよ、だから」
「うん……だから、どうしたんですか?」
と何かを察したかのようにゴリ田先生は星川先生を見つめてた。
「だから、私止めたのよ。「最後まで食べなさい」って」
「愛川ぁぁぁぁ!!!」
とゴリ田先生はつっこむように叫んだ。そんなゴリ田先生の悲痛な叫びに対し星川先生はこう続けた。
「けどね、愛川さん「食べたくないです」と言って首を横に振ったよ。だから、「だめよ、食べなさい」って、言ったわ。すると愛川さんまるで歯を食いしばって「……分かった」と言って座って食べたわ」
「「愛川ぁぁぁぁ!!!」」
と今度は生徒らもまるで愛川を同情するかのようにさけんだ。これはさすがに酷いと分かってしまったのだろう。さらに
「そしてねゆっくり、ゆっくりカレーを食べたのよ」
「「愛川ぁぁぁぁ!!!」」
「その直後…?かしら……愛川さんが顔を青くなって泡を吐いて倒れたわ」
「愛川ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
と今度のゴリ田先生と生徒達は今日一番の声で叫んだ。すると
「あ゛あ゛………オ゛オ゛……」
「大丈夫ですかー!?」
「これはヤバい、急ぐぞ!!」
と先程の星川先生が言ってた通り、顔を青くし、白目をむいて泡をぶくぶく吐いている様子で担架に乗せられて、二人の急救命士によって猫乃を横切って運んでいった。
「それで…」
受李を驚く目で見送ってた猫乃ははっとし、星川先生の方を向いた。星川先生は少し目を鋭くして猫乃を見つめてた。
「本当に愛川さんが体育着を盗んだんですか?」
「え……た、確かに……見たんです。そうですよね、ゴリ田先生……私、本当なんですよ!」
と猫乃は助けてほしいかのようにゴリ田先生に目を向ける。すると、その猫乃のあざとい視線が効かないかのようにゴリ田先生はため息混じりにこう言った。
「これだけの証拠がある。正直に言ったらどうだ?」
「酷い!私の話信じてくれたのに!」
「さっきの愛川が救急車に送られたのを見てもか?」
「う……」
とゴリ田先生のシワを寄せている姿を見た猫乃は歯を食いしばった。なんでこんなになった?こんなはずじゃなかったのに……と唇を噛んで、その直後に全ての事を話そうとした。
カン……!カァァァン…!!!
「なんで……なんで…なんで!!」
と猫乃は細暗い裏道を歩いては近くにある空き缶を蹴っていた。猫乃が何故こんなにも怒りに狂っているのは言わずもがな、あの体育着窃盗事件である。最初は猫乃が有利の立場だったのはずなのに、受李が倒れた途端から一気に段々と受李が有利になっていく様に猫乃は気に食わなかった。
「なんで……あんなブサイクな女を庇うわけ!?普通なら可愛いこの私が先に庇うでしょ!………んもう!!」
とドシン!ドシン!と足を踏み鳴らす。そして、その場でしゃがみこみ、頭をくしゃくしゃした。
「どうして、ああなったのよ!?こんなはずじゃないのに……」
すると
グシャ……!!グシャ!!グシャァァ!!キィィィィィィンンン!!!
「!!」
向こうから何かをすり潰したり、ドリルで穴を掘ってる音がなっていた。猫乃はすぐに立ち聞こえた方に向かった。
「こんなところで工事?結構狭いのに……」
そう猫乃は不思議に思い聞こえたほうに向かった。すると猫乃の目の前で
「え……血ぃ!?」
血が飛び散っている痕がある。するとその方の奥を見ると
「ひぃ!!」
と猫乃はあまりの光景に絶句をして、立ち止まて腰が抜けていた。その目の前には会社員らしき格好した女性を三人とも食べられた痕をしたまま死んでいて、オシャレな格好した女性を座りながらバリむしゃと食べている巨人の幼女がいたのだった。すると猫乃の恐怖に満ちた声をしたのを聞こえて巨人は振り向いた。その姿は一件は先程の通りに巨人の幼女だが、顔は大きく、目がなく口が大きく引き裂かれていてすごくをしてた幼女が顔を猫乃の方を向いた。
「わぁ……、可愛い子だー。しかも、制服を着ている〜」
「あ……あぁ……」
「ねぇねぇ、聞いてもいい?僕って可愛いよね?」
「あ、ああ……」
猫乃は恐怖のあまりに腰が抜けているのにも関わらずに立ち上がり、少しずつ後退りをした。するとそれに気付いた巨人は
「なんで?なんで、離れるの?」
と猫乃に近づこうとした。そして
「あ……きゃぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁあ!!!!!!」
と勢いよく走り出した。はあ……はぁ……はぁ……!!!と息を切らしながら、後ろを振り向かずにただまっすぐに走り出した。
「あ、待て待て〜!!」
と巨人も狭い道路でも早歩きした。
いやだ……嫌だ嫌だ嫌だ!!!こんな所で絶対に死にたいない!!の恐怖に絡まれながらのそれでも猫乃は走り出した。すると
「待ちなさい!!」
そろそろ怒ったのか巨人はすぐに、猫乃の目の前で飛びうつった。
「ひぃ!!」
前しか見えてなかった猫乃は目の前に巨人がいる事に気づいては止まり、すぐに折り返そうとした。
「めっ!」
と巨人は手に持っていた人を物かのように投げた。投げられた人が目の前で内蔵がまる見えなるようなに飛び散るのを見て猫乃は
「あ……あぁぁ……」
あまりの惨劇にまた腰を抜かしてしまった。
ドシン……!ドシン……!
「……」
「わぁ……!本当に可愛い子♡」
絶句する猫乃を見ても巨人は気にせずに両手を顔に乗せて、うっとりとした顔で猫乃を見つめた。
「う……うぅ……誰かぁ……」
この巨人から逃げられない恐怖と死の直前で境に見えてしまった猫乃はとうとう泣き出して体を縮こませた。それを見た巨人はニッコリとして
「大丈夫だよ、僕が美味しく、大切に食べて……ぐぉぉ!!」
と猫乃に触れようとした巨人が誰かによって背中から蹴られてしまった。
「痛い!痛い!」
と巨人は痛められた背中を優しく抑えていた。そして、
「たっく、何事かと思えば食われる寸前なんてねぇ…」
「え……?」
「あんた、大丈夫?」
巨人を蹴った人を見ては猫乃は驚いた。巨人を蹴った人の正体はなんと猫乃の現在進行形で嫉妬していた受李だった。その受李の両手には薄い黒色の膜みたいなのを張っていた。
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