第20話 動く採掘ポイント

 先ずはセーラ様の加護〘天変地異〙で周囲の土壌を砂に変えてから、全ての砂をヴェガ様の加護〘無限収納〙で回収したの。〘無限収納〙の中でダマスカスとそれ以外に分別して、不要な物質は全て放出すると、希少鉱石ダマスカスを1tほど採掘することができた。ダマスカス以外にも金と銀が含まれていたので、合わせて〘無限収納〙に収めて最初のポイントでの採掘を終えたのだった。

 しかし、大量の砂を放出したことで、私の目の前が砂漠になっていた為に、慌てて元の岩場に戻してから次のポイントへ向かったの。


 そして次のアダマンタイトの採掘ポイントは、かなり特殊なものだった……。


 採掘ポイントに到着すると〘並列思考セラフィム〙のいうポイントが動いていたの。


『ズ、ズズーゥ、ズズーゥ』

「ねぇ、あれって……動いてるよね?」

「動いてますね……」


 採掘ポイントが動いてるように見えてるのかと思ったけど、アナにも動いてるように見えていた。


 そう、私達の前にある採掘ポイントの、大きい岩の塊がゆっくりと動いてる。岩の塊というか、半端なくバカでかい亀に見えた。


「めっちゃデカイ亀じゃない?」

「亀です……」

「鑑定するわ……」


 私が亀って聞くと、リューネが亀だと答えたので、あれが何なのか鑑定することにした。


【アダマンタートル】アダマンタイトの甲羅を持つ大亀種。非常に硬い甲羅の為に物理攻撃はほぼ無効、魔法攻撃は反射するので、非常に討伐が困難な生物。

【HP】5,000

【MP】1,000

【筋力】3,000

【防御】7,000

【敏捷】50

反射リフレクト



「アリス様、これを討伐するのは流石に無理じゃないですか?」

「えっ、簡単だよ?ちょっと待っててね」


 ゼシカが物理も魔法も効かない相手なので、討伐は無理だと言ってきた。私としては何の問題もないのでアダマンタートルを『サクッ』と討伐するところを披露することにした。


「じゃあ、討伐するね。アダマンタートルが魔法攻撃反射をする事を〘拒絶〙する。そして〘妖精の輪フェアリーリング〙発射!」

 私が魔法攻撃の反射を〘拒絶〙してから、光り輝く輪を発射すると、高速回転しながらアダマンタートルの上から甲羅に当たると、『スパッ』と簡単に両断した。物理も魔法も効かない最強の防御力も、私の〘拒絶〙の前では全く関係なかった。


 目の前の出来事に全員が『ポカーン』と口を開けて立っていると、ミネバが我に返って口を開いた。


「アリス様の【拒絶】を使えば、この世に倒せない物は存在しないのですね……」

「そうだね。不死の相手でも、不死を【拒絶】しちゃえば良いもんね」


 その後は、アダマンタートルの甲羅からアダマンタイトを1tほど〘無限収納〙に回収すると、採掘イベントは全て終了したので、後はのでのんびりと馬車旅を楽しみながらルミナスの森へと帰還したのだった。

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