第12話 ︎︎因果は不応報
三門と渉の戦闘で周りは更地になり、兵も誰一人いない。
「なるほどな、お前が辿った道はなんとなく分かった。」
「…でもお前は間違っている。」
「は?なにいってんだおまえ」
三門はかなり動揺している。
「お前は気付いていない。自分を縛っていた鎖が自分自身だってことに!。」
「いい加減にしろ!」
強い拳が来たが受け止めた。
「それはお前だ!無自覚のうちに自分を苦しめ、それを他人のせいにしている!!」
大きな攻撃を食らわせて三門は倒れた。彼は防御を全くしなかった。
「お前がすべきなのはまず、自分を許すことだ。」
「お、俺が…そんな……。」
「確かにお前は自由を手に入れた。でも自由には、孤独が付き物だ。お前は自由の代わりに全てを失っている。自分から仲間も家族もなにもかも全て手放したお前なんて、敵じゃないんだよ。俺の勝ちだ。」
「く、くそっ…。」
「でも安心しろ、お前には俺がいる。いや、俺たちがいる。お前の孤独も、全部晴らして本当の意味での自由になれ。」
渉はその場から立ち去ろうとした。
「おい待てよ、渉」
「…なんだ?」
「どこに行くつもりだ?」
「そりゃ火天ぶっ倒しに行くに決まってんだろ」
「俺も行く」
「は?お前自国の最高幹部が王様倒していいのかよ」
「構わねえさ。俺はもう自由だからな。それに忘れるなよ。たしかにもう俺にはお前がいるけど、お前にも俺がいるんだからな。」
「分かった、行くぞ。三門…いや、帝牙!」
「おうよッ!渉!!」
2人は火天がいる方へ向かった。
カールは開戦直後、自分の部隊と共に右を攻めた。渉が中央を攻めることは三門帝牙とぶつけることで決まっており、カールが右でマリアが左を攻めて、カールと渉の間を伊藤、マリアと渉の間を一等中将たちが攻める手筈になっている。
「さて、まあまあ倒したはずなんだけど。そろそろかな」
「
男の声とともに数百人いたカールが倒した敵兵がゾンビのように蘇った。
「出たなッ!ルドラ・クシャトリア!」
「誰だ小僧。我の前にひれ伏せ。さもなくば死ね。」
「忘れてんじゃねえよ。兄の…仇ッ!」
「エリック・ヴィクマンの弟か。その仏頂面はよく似ているな」
「あんま調子乗ってんじゃねえ!お前は、俺が裁いてやる!」
「我の収集物に加えてやろう。覚悟するが良い。」
倒したはずの数百の大軍が立ち上がり、カールを襲った。
「クズが。どこまでも愚弄しやがって!殺すぞ!
得意の雪のアークで全身を大きなゴーレムのように変え、襲いかかる軍勢を一掃した。
「さすがこんなものでは倒せんか。」
「てめえに褒められても嬉しかねぇんだよ。どうせこんなもんで終わらないんだろ?」
「ハハハッ!さすがだなぁ!取っておきの駒を見せてやるよ!」
そういって手を大きく広げ、目の前から立てた棺桶のようなものが地面から出てきた。
「あらかじめ地面を熱して軟化させて埋めてたわけか。」
「さあ!感動の再会と行こうじゃないかッ!我に美しい兄弟愛を見せてくれたまえ!」
そう言うと棺桶の側面がぶっ飛んで中から人影が現れた。
「お、お前は…!」
土煙が晴れて人影の正体が明らかになった。
「あ、兄貴!?!」
そこには死んだはずのカールの兄、エリック・ヴィクマンがいた。
「おい兄貴!俺だよ!カールだよ!」
「無駄なことだ。死人に耳なしだぞ。」
「嘘だよな、?聞こえてんだろ?」
エリックは何も答えなかった。
「さあ行け!愚かな異国の下民よ!高貴なる我に再び命を燃やすのだ!」
そういうとエリックは炎を纏った氷のアークでカールに攻撃した。
「やめてくれよ、兄貴!!弟だぞ!」
攻撃をギリギリで避けたが、連続で攻撃が入った。
「
壁を作り防御をしたが簡単に壊された。攻撃が当たってしまった。
「本当に…聞こえてない…のか。。」
「覚悟を決めた方がいいだろう!まあそうしたところで貴様が叶う相手ではないがなッ!」
「…汚ぇぞ!あの時だってお前はたまたま…」
「なにがたまたまだw。笑わせてくれる!」
ルドラは小馬鹿にしたように笑いながら言った。
「あの時貧民街で流行した疫病は、全部我自身が病原体を巻いたのだからな!」
「お前、自国の民だろ!守るべき者を殺してどうするんだ!!」
「下賎な貧民如き、いくら死んでも構わない。いい掃除になったんだから謝礼でも貰いたいところだなw」
「決めた。お前は、必ず殺す!確定事項だ!」
「何をぬかしている。さあ我が兵よ!自分の愚弟をその手で処分せよ!」
そう言うと、エリックが辺り一面をカールの足ごと凍らせて身動きを取らせなくさせた。
「しまった、この技は…。兄貴の氷のアークに火が纏ってる…?地面が氷と火で大変なことになってるじゃねえか!」
「やれ!殺すのだ!その
エリックは火を纏った無数の氷の槍を放ち、カールに攻撃した。
「
雪の壁を前よりさらに大きく何重にも作り防御をする。
「うがあぁっ!」
槍が雪の壁を貫き、カールの右腕を切断した。
「大事な腕が無くなってしまったなぁ。やはりどんな硬いものでも急激な温度の変化には耐えられないようだな。」
「舐めんなよ、俺は左利きだ!」
「安心しろ。次は心臓だ。」
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