アークの涙
@Usuta96
第壱章 サファイアシュラン編
第1話 ただのハジマリ
東京のとある町に私立高校に通う高校生、
今日も変わらず朝起きて家を出た。商店街を抜け、少し殺風景で地味な住宅街を通るその時、
「助けてーー!」と叫びながら同じ制服の少女が向かってくる。
すると謎の光が渉の目を通り過ぎる。少女の方を振り返ると、彼女は謎の男に肩を掴まれていた。
助けなくてもよいが、渉は理由はないがふと思った。ここで助ければ日常が確実に面白くなると、
「離してやれよ」渉は言った。
「誰だお前 関係ねぇだろ下がれよ」
食い気味に答える辺りかなり好戦的な性格だろう。この手のタイプには交渉はあまり通じなさそうだ。
「事情はよく分からないけど、嫌がってるみt」
全て言う前に男が目にも止まらぬ速さで殴りかかる。ギリギリで避けることができた。警戒して正解だった。
見る限り小さな稲妻のようなものが足元に出ている。最悪なことにカバンにはほとんど何も入っていないため武器になりえない。あいにくの昨日の雨で地面が少し濡れており、かなり滑るにもかかわらず正確にストップしている辺り機動力も優れている。
「避けてんじゃねえよノロマ」間髪入れずに蹴りが入る。腕で防御出来たがかなりのダメージだった。渉は足元にある水溜まりを軽く蹴り、すぐさま後退して距離を取った。
睨みを利かせ考える時間を少しでも稼ぐ。只者ではないことは考えずとも分かったが、何者かは全く分からない。明らかに人間離れしたスピードと謎の稲妻。何らかの機械を付けているとしたらあのスピードは逆におかしい。
どちらにしろ先程の蹴りがまだ響いている。このまま戦闘を続けても負けることは目に見えている。
「お前何者だ?その力、普通じゃないだろ」渉は聞いた。
「黙ってやられてろよ」再び男の拳が来る。今回は距離がある分一気に詰める気だろう。
渉は再び後退するが拳が左肩に当たってしまった。だが少女とはかなり遠くなった。
渉は右の壁を強く叩いた。すると店のものと思われるの屋根の上に溜まった雨水が一気に男に降りかかる。
「うああああぁあ!!俺のアークがあぁ!」男の体に湯気のような煙が上がり大きな声でうめいた。
やはりそうだった。雨水をやたら警戒して動き、水溜まりを蹴った時もやけに注意していた様子だった。この男は身に付けている武器かアーマーが水に弱いのだろう。
この隙に少女を連れて逃げた。
少しだけ遠い大きな公園に逃げた。平日の公園のため人はいないし、路地裏のような狭い場所と違って、いざとなっても相手も機動力はいかせない。とりあえず事情を聞くことにしよう。
「君はだれだ?あいつ何者なんだ?どうして狙われているんだ?」
少女は話してくれた
「すみません、助けていただいてありがとうございます」
「私は
「俺は2年1組の毘奈川渉だ。わたるで大丈夫」
伊藤響…隣のクラスのちょっとしたマドンナだ。良いとこの出のようで、少しばかり聞いたことはある名前だ。
「嫌な気配?」渉は聞いてみた。
「はい。よくは分かりませんが、昔から第六感のように感じるんです。父からは遺伝だと言われました。どうやら父もときたま感じるみたいですがあまり教えてくれません、。」
「おいおい見つけたぞこの野郎!許さねえからなぁ!」
あの男だ。どうやってこの場所が分かっただろう。機械を壊されたからなのかとても怒っているようだ。
「どんな武器か機械か知らんが、弁償はしねえからな!」
「あ?てめぇ何言ってるかしんねえけどただじゃすまさねえぞ」
機械ではないのか。固有の身体的な能力?だが嫌な予感はする。
「伊藤響!!アークエンジェルとしておめぇは必ず連れて帰るからなぁ!」
何を言っているんだ、。なにかの隠語か?
「お前俺が何も考えずにここに逃げたと思うのか?」
少女の手を連れてすぐさま堤防を下がった。
「伊藤さん、ここはとりあえずこの川の浅瀬に行こう」
そう言ってふたりは浅瀬に逃げる。
「この野郎ふざけやがって!!」男は叫びながら堤防を蹴り上げそのままこちらに飛びかかる。3mほど距離があったのに一瞬で、しかも一蹴りで詰められてしまった。
殴りかかると思ったがポケットから何かを取りだした。すると強い光が出て一瞬目をつぶってしまった。
目を開けるとそこは何も無い真っ暗な空間のようなところだった。
近くを見ると伊藤もあの男もいる。無重力のようで思うように身動きが取れない。匂いも全くない。
伊藤に襲いかかろうとするヤツに蹴りを入れる。この空間ならこいつの速度も関係ないようだ。俺の足が当たったあいつの拳が痺れているようだ。やはり靴が濡れているので攻撃が効いている。
やはり反撃してくる。腹に稲妻を纏った拳が一発入れられた。最初に蹴られた時よりかなり強い。かなり吹っ飛んでしまった。伊藤に少し背中が当たったため伊藤も少し飛んだ。
そうこうしているうちに再び強い光が放たれ、気を失ってしまった。
目が覚めるとそこには戦闘服のようなものを着た伊藤がいた。
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