気配
ここはいつもの帰り道。静寂と暗闇に包まれた俺だけの空間。
しかし、いつもと違うことが1つだけある。気配だ。背中に気配を感じる。
しかも、その気配はすごく近い。真後ろにいるようだ。
最初は、偶然同じ道を歩いている人かと思ったが、歩く速さを変えてもピッタリと真後ろについてくるし、足を止めたら、その気配も止まる。
明らかに誰かにつけられている。でも、なぜつけられているのか、誰かに恨まれる覚えはない。
これ以上考えても気配の正体はわからない。こうなったら振り返って直接確認するしかない。だが、もしヤバいやつだったらどうしよう。何をされるかわからない。でも、このまま後をついてこられるのは気味が悪い。
勇気を出して振り返り、なんでついてくるんだと言えばいい。それで何とかなるだろう。よし、いくぞ。
「おい、なんでついて……」
勢いよく振り返ったが、そこには誰もいない。気のせいだったのか。
まだ気配を感じるが、疲れているせいだろう。気にしないようにして、早く帰って休もう。
「こんばんは」
突然かけられた声に思わず肩を跳ねさせた。
この人は確か、近所に住んでいる人だ。もう家の近くまで来ていたのか。
「こんばんは」
挨拶を返してすれ違う。
前から歩いてきた人に気が付かないなんて、かなり疲れているな。家までもうすぐだ。早く帰って休もう。
「あの」
先程すれ違った人が声をかけてきた。何だろうか。
「背中についてますよ、うんこが」
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