第40話 今回の真相
全員が大使が治療してる町へ戻り、合流してセリアが報告してくれる。
「原因が判明したわよ」
ハンスは言う。
「さすがだな、さっそく聞かせてくれよ」
セリアは笑顔で資料を出してきた。そこには色々な文章や数字が書かれていて中にはグラフみたいな物も書かれている。
正直僕には何が書かれてるか分からなかったけどとにかく何かの結果が出たという事を示していた。
セリアは言う。
「体調不良の原因は石」
ハンスは「石?」と問いただす。
「徐々に石化する呪いが掛けられてたみたいね」
ハンスは聞く。
「どうして分かったんだ」
「まあ色々と。体調に変化が出ないのに石化関連の異常の兆候が出たから。人間の体と石ってそこそこ関連があるのよ~。例えば歯に石がついたり、おしっこに混じったり、内臓が作る液体で出来る石なんかもあるの。だから石化呪いだと特定するのに少し時間が掛かったのだけど、血液の状態とか見てたら病気由来とは考えづらくて」
隊長は言う。
「それで呪いだと判断したのか」
「検査もばっちり。間違いないわ。いつ呪いを掛けられたかも特定できてるわ。進行具合から五日前ね」
ローナは驚く。
「すごいわね。こんなに早く見極められるなんて」
「うふふ、ありがと。石化解除の魔法を掛けてるからいずれ回復するわ」
セリアは笑顔で応えていた。
ハンスは言う。
「石化か。犯人は決まりですね」
隊長は答える。
「裏取りするぞ。今までの資料を寄越せ」
こうして僕らは手早く資料を確認する。
そしていよいよ、騒動を引き起こした人物を確保しにその場所へ赴くのだった。
僕らは石化の呪いを掛けたメデューサが居るスネーク連合の元へ…では無く途中にある魔族の村へ。
ハンスは声を掛ける。
「よお、元気か」
「アンタらか、何か調べてたよな。どうだい? 調査は進んでるかい?」
相手は最初にここに来た時に声を掛けた鶏を飼ってる鳥の魔族の人。
「ああ、犯人が分かったんだ」
「犯人? カエルと蛇の衝突の件だよな?」
「そうだよ、とぼけやがって。大使に呪いを掛けたな」
言いながらみんなで取り囲む。
「お、おい、なんだってんだ!? 呪いってなんだ!?」
「往生際が悪いぞ」
隊長が後ろに回り込み、大きなお尻に巻かれている腰布をはぎ取った。
そこには尾羽の代わりに蛇が生えていた。
隊長は噛み付かれないようにすぐさま、それを掴む。
声を上げる鳥の魔族。
「いてててて! なにすんだ!」
ハンスは銃を突きつけ続ける。
「うまく隠したもんだぜ。尻尾が蛇。コカトリスだよな? 石化の呪いを掛けられる」
隊長も続ける。
「お前たちコカトリスはカエルに托卵する性質がある」
「だ、だから何だってんだ!」
ハンスが突きつける。
「大使の親族が蛇と商売上の付き合いがあるという噂を聞いて大使が蛇側に有利な人物だとでも思いこんだんだろ。大使が蛇たちに肩入れしてカエル側が不利になれば困るのは托卵してるお前だ。手を後ろへ回せ」
「ぬ、濡れ衣だ! 呪いはメデューサでも掛けられる!」
僕とローナがコカトリスの手に縄を掛ける。
そして隊長は冷静に追い詰める。
「ああ、呪いは五日前に掛けられた。大使は五日前にスネーク連合へ打ち合わせに行った」
「そ、そうだ! この村を通ってな」
「その時、お前にも声を掛けていったらしいな。魔族との交流と情報交換の名目で。お前はこれ幸いと呪いを掛けた」
「違う! 証拠にならない! やったのは蛇たちだ!」
「残念だな、呪いはお前しか掛けられない」
今度はハンスが言う。
「その日はな、道に倒木があって行けなかったんだよ」
「え?」
「この先でな。お付きの人と共に四苦八苦して対処しようとしたんだが諦めて引き返したんだ」
「そ、そんな…」
「だから石化の呪いはお前しか掛けられない」
話をしていると魔族の住人たちが集まってきて言う。
「騒ぎを大きくしたなんて」「余計なマネを」
村長らしきゴブリンの人が言う。
「けじめはとらせないとイカンな」
捕らえられたコカトリスは「くそ、くそぉ!」と悔し紛れの声を上げたのだった。
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