第6話 捕らえられた少女

「ふう。固くてあんまり美味しくは無かったけど、腹いっぱいにはなったな」


腹ごしらえを済ませたハルトは、また森を突き進んでいった。


――10分ほど歩いた頃、木々が開ける場所に出た。

奥の方から何やら、灯りが見える。ハルトは灯りに近づいた。

森はひらけ、ハッキリとその姿を確認出来た。

姿を見せたその灯りの正体は人間であった。


「盗賊とかその類のやつらか…?」


彼らはナタや弓など、物騒な物を携えていた。

馬車を引き、どこかへ向かうようだ。


「また何かスキルが手に入るかもしれないし、国の為にも片付けてやるか…」


さらに近づき、木陰に潜む。そして会話を盗み聞きする。


「いやぁー、ここ最近で1番の収穫じゃねぇか?」

「ああ、間違いねぇ。穢すと価値が落ちるからヤれねぇのは残念だがな」

「そうだぜ、処女が1番高く売れんだ。あんま虐めんなよ?」

「わーってるよ」


〉「盗聴」スキルを得た。


「なっ。盗聴だなんて、人聞きが悪いな。まぁ間違っては無いんだが」


4人の盗賊たちが笑いながら会話していた。

…その会話の内容は悪そのものだ。


「……女の奴隷があの馬車の中にいるのか。スキルとか関係なく、片付けないとな」


ハルトは後ろから周り、馬車の陰に隠れる。


――誰にも気づかれぬように、そっと後ろから1人目の首をトンッと叩き気絶させる。


「……?!―――。」


一瞬の抵抗を見せたが、口を抑えているうえにハルトの筋力の前では意味を成さない。

すぐにぐったりと動かなくなる。ハルトはポイッと道端に投げ捨てる。


〉「隠密」スキルを得た。


そうして1人づつ始末したハルトは、馬車の中に入り探索してみる。

宝箱のような箱を見つけたハルトは中をこじ開ける。


「これは――魔法のスクロールか?」


4枚の巻物を見つけたハルトは手に取る。

その瞬間、ステータス画面が開かれた。


『「スクロール×4」を使用しますか?』


「―ああ」


〉「空気砲」スキルを得た。

〉「炎矢」スキルを手に入れた。

〉「ステータス鑑定」スキルを手に入れた。

〉「振動」スキルを手に入れた。


そしてまた色々なガラクタを漁っていると、布が掛けられた檻を見つけた。


布を取りその中身を見てみると、そこには口を粗布で縛られた少女が半泣きで座っていた。


「……ひッ!」


人間を恐れているのか、酷く怯えられている。

ハルトは鉄製の檻を難なくこじ開けた。


「大丈夫、今助けるから」


ハルトは”メティスのダガー”を取り出し、足枷と腕輪、口の布を切る。


「あ、ありがとう、ございます……」


――猫耳だ!

その少女は艶のある長い茶髪で、吸い込まれそうなほど深い紫色の瞳をしていた。スラっと高い鼻で可憐な顔立ちをしている。

…将来はとんでもない美人になりそうだな。

だが薄汚い服を着させられたその体は細く、栄養状態が心配になるほど痩せこけていた。


ハルトは「ステータス鑑定」のレベルを上げ、猫耳の少女に使用する。


―――――――――――――――

〈ミーシャ・シェール Lv8 〉

EXP:40/85

【年齢】11

【種族】猫耳族

【職業】無職

HP:130/130

MP:200/200

攻撃力:55

防御力:30

魔法力:45

幸運:20

速度:35

【スキル】

「調理Lv3」

「生活魔法Lv2」

―――――――――――――――


猫耳族の11歳か、まだ若いのに可哀想だな…。

ハルトは哀れみながら猫耳の少女に問う。


「――君、名前は?」

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