召喚された陰キャの物作りチート異世界ライフ〜家に代々伝わる言葉を入力したら、大量にギフトが届いたんですけど?!〜

橘 はさ美

〜グローリア王国にて〜

第1話 異世界転移

俺は田中 遥斗。高校2年の17歳だ。

趣味はちょっとラノベとかアニメ見るくらいで、これといっては無い。


――中学生の時からだ。

俺と話してくれていた、みんなが段々と離れていく。

それぞれグループを作り出したので、俺は完全に浮いていた。修学旅行も先生とだったなぁ⋯。


そしてそのハブりもエスカレートし、高校になってからは完全に虐げられるようになった。

昼休みになると陽キャの男女が俺を呼び出す。


「おっ、キタキタwはるちん」


この金髪は、御堂みどう国大くにひろ。こいつはこの陽キャグループの主犯格であると言えるだろう。


「購買の限定パン買ってこい」だの、「出世払いで返すから金貸せ」だの。

そして俺の目の前でイチャつきやがって。


…ほんと、よくここまで生きてきたよ。


――ある日、普通に授業が終わり、小休憩に入った。

みんなはそれぞれの友達の所へ行き、談笑をするなり、連れションするなり。

まぁ俺は、1人を貫くがな!いつも通り小説を広げ、読んでいたその時だ。教室が赤い光に包まれたのは。


「な、なんだこれ?」

「ねぇ、何この光?」


突然の出来事に、パニック状態になるクラス。


――しかし、ハルトだけは目を輝かせていた。

夢にまで見た異世界だッ!きっと女神様かなんかが現れて、チートスキルを授けてくれるのだろう。


そして全員、その場に倒れ転送される。


―――目が覚めると、そこは中世ヨーロッパのような王宮の中だった。奥には王座に座る王様と、左右に仕える家臣。


「うむ、よく召喚に応じてくれた」


白い顎髭を生やした、いかにもな王様が口を開く。


「ここはグローリア王国。この国は今、魔王の作り出す魔物たちによってピンチなのだ」


「なに?魔王だって?そんなん俺がぶっ飛ばしてやるよ!」


引っ込め金髪。お前の出る幕は無いぞ。

乳房の大きい魔法使いのような女性が、階段をゆっくりと降りてきた。

手には水晶を持っている。


「これは”スキル水晶”です。1人1つ、スキルを授けたうえにステータスを可視化します」


女性は1人ずつ呼び出し、皆の前でスキルを授けた。強いスキルを入手したやつは「よしっ!」とガッツポーズをする。


そして、御堂国大のステータスが開示される。


―――――――――――――――

〈ミドウ・クニヒロ Lv1 〉

EXP:0/20

【種族】人間

【職業】無職

HP:620/620

MP:250/250

攻撃力:325

防御力:310

魔法力:200

幸運:60

速度:85

【スキル】

「斬鉄Lv1」

―――――――――――――――


その文字の羅列が浮かび上がった時、周りは感嘆の息を漏らしていた。

今まで見てきた数値のおよそ2倍〜3倍。

明らかに突き抜けていた。


まぁいいさ、次は俺がこの何倍ものステータスを叩き出してやる。

そう心の中で言って、ハルトはニヤリと笑みを浮かべる。


「では次、こちらへ」


ハルトは女性に従い、壇上に上がる。

赤い包みに包まれ、台に置かれた水晶に手を当てる。


―――――――――――――――

〈タナカ・ハルト Lv1〉

EXP:0/20

【種族】人間

【職業】無職

HP:55/55

MP:20/20

攻撃力:15

防御力:3

魔法力:20

幸運:90

速度:15

【スキル】

「造形Lv1」

―――――――――――――――


空間に転写されるように映し出されたそれは、正しく”雑魚”そのものだった。

なんだよ「防御力:3」って。ゴブリンにでもワンパンされるんじゃないか?


「お、お前、”造形”とか…粘土こねるだけじゃねーか!www」


クラス中で笑いが沸き起こる。

この国の連中も俺に軽蔑するような目線を向けてくる。

ハルトは恐ろしく低い自分のステータスに、もはや戦慄した。


……異世界でも意気地無しなのか、俺は。


***************

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