罪認《ざいにん》
夜桜カユウ
行動観察の結果報告書 #0
担当刑務官:□□□□
○○ ○○様
囚人番号20番、その精神状態が不安定かつ、どんな行動を起こすのか
概要と要望
囚人番号20番、彼はつい数ヶ月前にこちらに送られてきた受刑者であり、その当時友人だったと思われる△△△の自殺を
友人を亡くしたことがきっかけか、はたまた別の理由か、彼は精神を
残りおよそ四年の懲役だが、彼の精神上の問題はかなり深刻であり、社会復帰が非常に難しい。
よって、彼に日記をつけさせようと思った次第で御座います。
一度彼と会話して感じたことではありますが、彼はおそらく、記憶を失っています。
記憶を失っているうちは社会への復帰は困難であると思われ、改めて日記をつけさせることで戻る記憶もあるかもしれません。
ただ、彼が自殺幇助の罪で懲役されていることからも、記憶を取り戻した瞬間に異常行動に移ることも不思議ではありません。
よって十分な観察、より一層引き締めた警備により、これを対処いたします。
本日の囚人番号20番の動向
7:32 起床
8:00 朝食
12:00 昼食
18:00 夕食
21:00 就寝
囚人番号20番を担当した看守より
「いつも通り、食事以外で動くことなく、ずっとただ植物のように座っていました。何をするでもなく、ただずっと座ったままで、正直に言ってしまえば気味が悪い。」
この様に、囚人20番は精神上の問題を抱え、このままでは刑務所の役目である「更正と社会復帰」が困難な状況であるため、精神に何らかの影響が及ぼされても早期に発見しやすいよう、対応を致します。
「よし、こんなものか…」
私はペンを置き、机から椅子を離す。
ぎいぎいと音をたてて滑る椅子に若干の騒がしさを引きずりつつ、改めて書類に目を通す。
今回こんな書類を書くことになったのも、ここに書いてある、1人の囚人の精神健康上の問題のせいである。
まあ、言ってしまえば、そんな囚人は数多く見てきたはずなんだが…
「新人だからか?…全く…面倒なことになった…」
そもそも日記をつけることなど勝手にやらせればいいだろうに…
「まあ、そうもいかないのが、
幾度か話として聞いたことはあるが、どんな物でも利用するのが脱獄だ。
日記など、と
ただでさえ、精神が不安定な者に渡すのだ。慎重に行動しなければ…
ふと、資料にある名簿を手に取る。
「囚人番号20番…」
思えばずっとそうだったかもしれない。
ここに初めて来たときからずっと、彼は表情ひとつさえ動かしていないのか?
…そんな不気味な妄想が頭を
現に、確認をしてみると看守は数年間勤務している、
…本人がそれを認めたいかはともかくとして。
「…まさかな。」
どちらにせよ、彼は要観察だ。
そう結論付けた。
そして、その申請の許可が降りたのか、私が起きると、私の無骨で地味な机の上に、一冊のノートが置かれていた。
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