第38話 面白いサプライズ


「急に呼び出してすまんな」

「い、いえ……」

「それでわざわざ呼び出した理由なんだが……」


 来たっ!


 シノミヤ家に嫁いで来て今までいわゆる夜のアレが無かったのである。


 しかしながらここにきてようやっとわたくしはソウイチロウ様に夜、寝室に呼ばれたのだ。


 そしてソウイチロウ様のこの緊張した面持ち、それはまさにそうなのだろう。


 ソウイチロウ様とて男爵とは言えども貴族。


 いつかはそういう行為をして跡継ぎを作らなければならなず、貴族である以上その事からは逃げる事はできないのである。


 わたくしもその事は重々承知しており、覚悟は嫁ぐことが決まったその時からしていたのだけれども、いざその時が来た今、わたくしは心臓が壊れるのかと思うくらい鼓動は早くなり、緊張で呼吸もうまくできない程である。


 けれども、わたくしは今日、ソウイチロウ様とそういう行為をするのだと思うと緊張よりも嬉しさの方が勝る。


「は、はい……っ!」

「今日国王陛下から手紙が届いてな……」

「えぇ、大丈夫です。わたくしもその覚悟はしておりましたから…………へ?」

「ほう、さすがシャーリーだな。既にある程度は予想がついていたという事か。なら話は早い。実はな、来月の半ばに国王陛下の生誕祭のパーティーが王城で行われており俺も招待された。毎年断っていたのだが、今回は国王陛下と相談して参加する流れになっているのだがどうする? 勿論シャーリーが行きたくないと言うのであれば今回も辞退するつもりだし、それに関しては元々俺も行くつもりは無かったから気に病む事は無い。純粋にシャーリーの気持ちを言ってもらえればと思う」


 あれ? わたくしの早とちり……?


 その事に気付いたわたくしは急に恥ずかしくなり、今すぐにでもこの部屋から逃げ出して布団の中に籠りたくなるのを必死に耐え凌ぐ。


「大丈夫か……?」

「だ、大丈夫ですわ……っ」


 本当は羞恥心から暴走しそうで大丈夫ではないのだが、その理由を説明できるわけもなくわたくしは大丈夫だと返事をする。


「確かにシャーリーにとっては酷な質問かとは思うんだが……シャーリーの判断を尊重するからどのような理由であり行きたくないと言うのであればそれで良いと思っている」


 そしてわたくしはソウイチロウ様に気付かれないように深呼吸をして、今回の話を頭の中で纏めていく。


「因みに、そのパーティーへ行くと国王陛下からの面白いサプライズが見られるから行って見るのも良いとは俺は思うぞ?」


 

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