第10話 あのウナギですの……っ!?
「あっ!! まさかシャーリーさん私の事を年下だと思っていたでしょうっ!? 表情に出ているからねっ! そういうシャーリーさんの年齢は何歳なのよ!?」
「うっ、も、申し訳ございませんわ。 わたくし今年で十六、今現在は十五歳ですの……」
そしてどうやらわたくしはアンナが思っていた以上に多く歳を取っている事に驚いていのが表情に出てしまっていたようで、それがアンナにバレてしまったようである。
言い訳すらできないと判断したわたくしは素直に謝罪をして、自分の年齢をアンナに教える。
「はぇー……もしかしたら十八歳くらいかもと思っていたんだけど、やっぱり日本人と違って大人びて見えていたのは当たっていたわねっ!! とりあえず、私のほうがお姉さんなのだから困った時はいつでも頼って良いからねっ!! 例えばあそこにいるロリコンに押し倒されそうになったとかっ!!」
「……いい加減にしろ。 まったく」
「痛いっ」
アンナはわたくしが年下であると分かるといつでも頼ってくれて良いと言ってくれた後に余計な一言を言ってソウイチロウ・シノミヤ様に頭を叩かれてしまう。
その一連の流れで周囲に笑いが起き、わたくしもその楽し気な雰囲気に当てられ少しだけ不安が消え、この家に来る前よりかは大分楽になった。
そしてその事はアンナにはお見通しであったようで『どう? 緊張は、少しは解けた?』と声をかけられたので、首を小さく縦に振って返事をすると『良かった』とアンナが呟いているのが聞こえた。
この流れに乗じてわたくしは食堂にいる使用人たちへと自己紹介をして『ぺこり』と頭を下げると、皆笑顔で拍手をしてくれ『ようこそ四宮家へ』とわたくしを迎え入れてくれ、各々の自己紹介が五分ほど続く。
今まで王国の妃として厳しい教育下で暮らして来たわたくしは、皆のその優しさが胸に染みわたり、温かい気持ちがじわじわと胸いっぱいに広がってくる。
「それはそうと、今日の夜ご飯は何ですかっ!?」
「今日は良いウナギが手に入ってな、うな重との事だ」
「やったーっ!! 日本では高級で庶民には手が届かないけどこっちの世界ではめちゃくちゃ安いからお腹いっぱい食べても罪悪感が無いのがまた良いよねっ!!」
そしてやっと緊張感が和らいできたと思ったら、アンナがこれから食べる晩御飯についてソウイチロウ・シノミヤ様がウナギと答えるではないか。
「あ、あの……ソウイチロウ・シノミヤ様──」
「ソウイチロウで良いぞ」
「──ソ、ソウイチロウ様……っ。 ウ、ウナギってあのウナギですの……っ!? あの、黒くてにょろにょろして蛇みたいな、捨て値で売られゼリー寄せぐらいしか食べられない……あのウナギですの……っ!?」
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