付録 1: ガンダム SEED の UI を考える
これを書く前に、ガンダムの軍事費とか、ガンダムのサステナビリティをバリューチェーンから考える(火星から資源を調達するときには紛争鉱物が多そう、ガンダムの製品含有化学物質のトレーサビリティーはどう保証するのか、破壊されたモビルスーツのリサイクル回収はどうするのか(特に宇宙ゴミ対策))とかを書こうかなと思いました。
実際に軍事費ネタは書き始めたんですが、書いてるうちに政治家は和平交渉の努力はしてるのかとか、地球側とプラント側の国民は汗水垂らして払った税金がほぼ使い捨て状態のモビルスーツに湯水のように使われることに納得してるのかとか、新聞の論評欄みたいになってしまったので諦めました。
バリューチェーンの方も、書いてる本人は楽しいけど、世の皆さんにとっては面白くなさそうだなと思って止めました。
ただ、UI についてだけはちょっと書いておきたかったので、ここで書いておきます。
* * *
ガンダム SEED の UI を考える
UI とは、ユーザー インターフェース(User Interface)の略です。機械を操作するときに、どんな操作方法をとっているかということですね。
ガンダムに限らないのですが、アニメだと割とたくさんのボタンとレバーで動かすタイプのロボットが多いです。まあ、クレーンの操縦席とか考えるとレバーで操作っていう発想に自然となりますが、あんな細かい動作するロボット、レバーじゃ足りないですよね?
ガンダム SEED の第二話で、敵の攻撃をコックピットのスクリーンから見ているシーンがあるんですが、操縦席にいるお姉さんがあまりに動かないので「あっ、あぶねっ!」って思って、つい手でよけそうになってしまったんです(恥)。それで、「あれ? ロボットの UI ってなんでガチャレバ式なんだろう?」と思ったわけです。
しかも、SEED に出てくるモビルスーツにはキーボードも付いてます。戦いながらキーボードかちかち打ってる余裕ないだろ?って。たとえ敵からの攻撃をスクリーン越しに見ていても、本能的に手足が動きませんか? 逃げようとか戦おうとか一秒を争うときに、キーボードかちかち打つような繊細な作業はできないような気がします。それに、いくらブラインド タッチができても、多少は視線が手元に行くので注意力が削がれて危険だと思います。
「じゃあ、ロボットの操作に一番効率的な UI は」と考えた時に、思いついたのはウェアラブル コントローラーです。ウェアラブルってあれですね。あの手とか脚とかに手甲脚絆みたいなの被せて、自分が動くと機械もそのとおりに動くってやつ。核融合炉とかのマニュピレータ(ロボット アーム)では、ウェアラブルでただ機械が自分の動きどおりに動くだけではなく、
触覚デバイス付きのウェアラブル コントローラーだったら、コーディネーターは動体視力が優れてるとか、瞬発力がめちゃくちゃいいとかそういう設定にもできると思います。
私の記憶では、ロボットの操縦にウェアラブルを使っていたのはレッドバロンと勇者ライディーンだった……、と思って調べてみたら、全然違いました。ジャンボーグ
さて、ジャンボーグAとグレンダイザーですが、割とすっからかんとした空間で操作アクションをしています。まあ、周りにスペースがないと動けませんからね。でも、ガンダムのように縦横無尽に動き回るロボットの中で、何のサポートもない状態で戦っていたらすってんころりんと転んで怪我をしかねません。特に敵からの攻撃を受けたときに感じるのは、交通事故並みの衝撃でしょう。したがって、高い衝撃に耐えられるように運転手をベルトか何かで固定しなくてはなりません。
すっからかんとした空間でベルトに吊り下げられた状態で、えいやっと手足を動かしているロボットの操縦者。
絵になりませんね。却下です。
そこで考えました。
「中に入って戦わなければいいんじゃね?」
リモートです。職場は今やリモートの時代です。ガンダムもリモートで出勤すればいいんです。
考えたのは、以下の操縦方法です。(以下、妄想 100% です。生ぬるい目で見守ってやってください。)
下部が丈夫そうなダンパーに支えられた直径が 3 メートルくらいの黒い球体を考えてください。これをオペレーション ブースと名付けます。球体の表面にある小さいドアをくぐって中に入ります。
内側は前面と後面に分かれていて、オペレーター 1 は前面に向かって中心に立ちます。球体の内側を水平に五分割して、真ん中の三分割分はスクリーンになっています。ぐるっとサラウンドのスクリーンになっている状態です。
オペレーター 1 は、脳内の電気信号を感知するヘッドギア、視線を感知するゴーグル、全身を覆うウェアラブル コントローラーを着けています。全部ワイヤレスで繋がっています。ゴーグルを VR にしてもいいんですが、それだと単に箱の中で意味なく暴れている人みたく見えるので却下しました。腰の部分には、左右にゲーム コントローラーみたいなのを二丁拳銃よろしく下げています。これはオプションの武器を選ぶときに使います。PlayStation のバーチャル リアリティ ゲームで使うように、剣のように振ったり、銃のように構えて打ったりすることもできます。
モビルスーツは全長が 18 メートルあります。したがって、内部から直接操作しても物理的に電気が走る距離が長いので、オペレーターが実際の操作をしてからモビルスーツが動くまで必ず遅延が発生します。したがって、システムがオペレーターの意思をなるべく早く拾う必要があります。ヘッドギアはこのために着用します。
逆にロボットのセンサーからの情報がオペレーターに届くまでも遅延が発生します。したがって、オペレーターが後方からの攻撃を感知したときには、既にモビルスーツが被弾している可能性があります。これを避けるために、オペレーター 1 の死角、主にモビルスーツの背面と足元を担当するオペレーター 2 をオペレーション ブースに同乗させます。
オペレーター 2 は、オペレーション ブースの中でオペレーター 1 と背中合わせに配置されます。オペレーター 1 と違い、オペレーター 2 はウェアラブル コントローラーを着けません。二人で操作したら二人羽織状態ですからね。オペレーター 2 用には操縦席があって、ここに座ってゲーム コントローラーみたいなやつとキーボードを操作します。主に、後方からの攻撃を避けたり退けたりするために、ランチャー砲みたいなやつを撃ちまくる係です。後は、オペレーター 1 により大きな危険が後方から迫っていることを知らせます。
オペレーション ブースは、体感ゲームのボックスみたいになっていて、モビルスーツが衝撃を受ければ振動したり、ある程度は左右に振り子のように動いたりします。でも、垂直方向にも水平方向にも全回転はしません。その代わり、画面に表示される内容が上下前後移動して、逆さまになったり、後ろを振り返ったりした印象を与えます。これで比較的(めまいはしそうですが)安全にモビルスーツのリモート操作ができます。
さて、ここで問題が発生します。リモートで操作する時の通信はどうするのかという問題です。
そもそも地球からプラントまで通信できるのだから、通信衛星は飛んでいるはずです。しかし、こういった通信には C.E. 時代のネットフリックスだとか(この時代には多分 3D になってるので、 1 番組見るのにテラバイト級のデータとか使いそうです)、リアルタイムでアバターが喋ってくれる元・ツイッターだとか、やたらデータを食う一般通信が含まれていて、使用できる通信帯域が限られそうです。また、ある程度公開されている通信なので、簡単に傍受されてしまいます(まあ、ガンダム間の通信であれば暗号化はされているでしょうが)。
この問題に対処するために、リレー通信をする通信用のハロを飛ばします。ハロは 3 台で一組とします。この 3 台のハロたちは、戦艦からガンダムまでの距離を 3 分割した位置に AI によって配置されます。ガンダムが移動するたびに、ハロたちも最短距離で通信ができるように配置し直されます。もちろん、途中に
通信には、連合軍が専有している帯域を使っていて、暗号化ももちろんされています。しかし、今度は敵が通信を阻止するためにハロを狙うでしょうから、ハロには武器も備わっています。あの蓋がカパッと開くと中からレーザー砲が出てきます。このため、通信用ハロは普通のハロより大きめです。ただし、レーザー砲を使うと通信が乱れるのでこれは最後の手段です。
通信用ハロたちを守るために、小型迎撃機を配置します。ハロ 1 つにつき、迎撃機 1 機、オペレーターも 1 人つきます。ハロのオペレーターたちは、状況によってハロの位置を手動で変えたりもできます。ハロを攻撃してくる敵はバシバシ撃ち落とします。迎撃機は、何か新しいモデルを考えます。三頭身のミニ ガンダムとかでもいいでしょう。ガチャで売るものが増えて B 社も万々歳です。
これで、ガンダムは単独のオペレーターではなく、5 人のチームで操縦する形態になりました。
……これもうガンダムじゃないだろ。
これ以外にも、宇宙での通信にはレーザー光通信がいいだろうか、レーザーだとハロ 3 つじゃ足りないかなとか、あとガンダムに量子コンピューターを載せておくとエラーが多そうだから、ガンダムはダム端末にして、宇宙線対策を十分に施した量子コンピュータとノイマン型コンピューターのハイブリッド データ センターがどっかに浮かんでて、そこと通信しながらガンダムを動かした方がいいだろうかとか、だったら光格子時計で同期を取るようにしたら、遅延もほぼ無くなって大容量通信もできて符号誤りもなくなるんじゃないだろうか、いや、でも光格子時計を宇宙にまで持って行くということは時間の進み方が遅くなって同期に問題が出るんだろうかとか、自分の頭では考えきれないことがたくさん出てきてしまったのでこの辺で止めておきます。
次回からは、本編を書くために学習したことの備忘録なのであんまり面白くないかもしれません。ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
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