妖怪バトル
第10話 対決! 目目連
そこは人気のない通りだった。
突然。
ゴトンとなにかが目の前に落ちた。
「石?」
妙に大きいな。
そんな物が空から降って来たのか?
よく見ると、それは鳥だった。
「これ……。カ、カラスだよね? 石になってるの?」
『
ひぃえええ……。
『ふふふ……』
女性の笑い声が響く。
真夏なのにコートを着て、帽子を深々と被っている。
その体には無数の目がギョロリとうごめく。
間違いない。
「も、
『この野郎! それ以上、優斗に近づくな!
『やれやれ。
すると、その枝は瞬く間に石に変化してしまった。
「わわわわわ! 石化だぁあああ!! 触れた物を石に変えるんだ!!」
まるで槍を投げて攻撃してるみたいに見える。
『んな攻撃がオイラに効くかよ!』
『ガブゥウウ!!』
おお!
すごい攻撃だ!
で、でも、大丈夫かな?
「
『安心しろ! 同じ妖怪は石にできねぇ! こいつが石にできるのは妖怪以外の存在なんだ!』
ああ!
それなら
『離すでありんす! この獅子毛魂の小僧が!!』
『へへへ。オイラが噛みついたら離さねぇぞ』
『くっ!』
やったぁ!
圧勝だ!
と思ったのも束の間。
『石にするでありんす!』
コートはたちまち石化した。
ズン!
重くなったコートは
そのまま地面に落ちて
『ぐぉ! お、重てぇえ……』
『ほほほ! そこでじっとしてるでありんすよ』
「ひぃいいいいいいいいい!!」
こ、怖いぃいいいいいいいい!!
に、逃げたい。
で、でも、
か、か、体が動かないぞ。
で、でも、
『優斗ぉおお! 逃げろぉおお!!』
と、と、友達を置いて逃げれるもんか!
「い、い、い、今、た、た、たす、助ける!」
『こいつの目的はおまえを石にすることなんだよぉおお!!』
だ、だからって、
「け、け、
ぼ、僕だって戦うぞ。
で、でも、喧嘩なんてしたことないし、運動神経はめちゃくちゃ悪いんだ……。
それに、体がブルブル震えてまるっきりいうことをきかないぞ。
こ、怖くて動けない。
『ほほほ。姫井ヶ森でうろつく子供はねぇ。
全身についた無数の目も僕のことを見つめている。
「ああああああ……」
怖い、怖すぎる……。
助けを呼ぶ声さえ出ない……。
そんな時だった。
『父ちゃーーん! 父ちゃーーーーん!! 助けてくれぇええええ!!』
そうか、
『くっ!』
一瞬にして石から普通のコートへと変わる。
『次は石にしてやるでありんす!』
そう言って去って行った。
僕は
「うわぁあああん!
『ははは。優斗。怪我はないか?』
「僕より
『ああ。オイラは大丈夫だ』
ああ、良かった。
大きな怪我はないみたいだ。
それにしても、
「お父さんを呼ぶなんて機転が利いたね」
『へへへ。まぁな。優斗が
「うん」
『それを思い出してよ。もしかして、オイラじゃなくて父ちゃんを怖がってるのかと思ったんだよ』
「ああ、なるほど」
事実、その効果はあったよね。
『でもさ。父ちゃんって足が遅いだろ? 呼んだところでよ。ここに来るのには半日以上はかかるかもしんねぇんだ。ははは』
「じゃあ、ピンチはピンチだったね」
『だな。嘘をついて逃げ切ってやったぜ』
「ははは……」
あうう……。
で、でも次は通用しないかもしれない。
「
『あいつ……。森に近づく子供は石にするって言ってたな』
「じゃあ、僕がネズミ神社に行ったからかな?」
『ああ、そういうことだろうな。優斗が森に行くことをよく思ってないようだぜ』
「えええええええ」
そんなぁあ〜〜。
僕たちは家に帰った。
とても、このまま姫井ヶ森に行く気になれない。
ベッドの中でブルブルと震える。
うう……。
ギョロリって僕をにらんでいた……。
「こ、怖い……。うう……」
僕がブルブルと震えていると、そんな布団の中に
ゴソゴソ。
『へへへ。邪魔するぜ』
「うう……。
『ははは。気にすんなって。それより逃げなかったのはどうしてなんだよ。石にされちまうかもしんねぇのによ』
「に、逃げれるわけないだろ……うう……」
『へへへ。怖がりのくせにしょうがねぇ奴だなぁ』
そう言ってペロペロと僕の頬を舐めた。
「あううう……。
『大丈夫だって。オイラがついてるから安心しろよ』
ううう……。
さっきはなんとかギリギリ助かったけどさ。
次はわからないよね。
ああ、どうしたらいいんだぁ?
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