First Step

 「実際自分の今の能力についてはっきり把握できてるか?」

 「暁雨の時に出来たことを話す感じでいいんじゃないかな」

 「実際ギフトネームだけでは分かりにくいことも多いですからね」

 「こればかりは推察も混みで考えていくしかないだろうな」


 うーむと頭を悩ませる三人。考え終わるのが早かったのは日皆のようだった。


 「私はなんとなく見当ついたかな、触れたことのある生き物の能力が使えるようになるみたい。どこまで反映されるのかはもうちょっと試してみないとわかんないかも」

 「なるほどな〜使い勝手が良さそうで羨ましいぜ」

 「あの時もお耳が生えていましたもんね?あれはうさぎですか?」

 「そうだね、普通の動物と獣人だと強化のされ方も少し違うみたい。そのあたりは使い分けかなぁ」

 

 少し考え込む御影。「あ」という声と共に今まで触れなかった暁雨について切り込んだ。


 「そういえば暁雨って、なんの権能ギフトだったんだ?川か天候に関係するものだとは思うんだが三層の実力者だろ?」

 「暁雨さまですか?暁雨さまは『雨』を司っておられますからね。天候は原初の地球から続くものですし、格も最上位のものになりますね」

 「身近に感じるけど、そう考えるとかなりスケールでかいな」

 「本気の暁雨さまは凄いですからね。人に恩恵を与える優しさの部分と自然の激しさを思わせる冷酷さを併せ持つ、その最たるお方ではないかとうさぎは考えます」


 尊敬の念を込めて三人に彼女が何であるかを伝えるうさぎ。流石に三人も敬わざるをえなかった。


 「流石に俺たちの抵抗も虚しいわけだ」

 「私なんて突っ込んでくだけだったし」

 「ガーデン入りたてで、初手であそこに飛ばされて行動できるだけでも素晴らしい才能の持ち主だとおもいますよ?うさぎが同じ立場なら流されてるとおもいますし」

 「並べるようにならないと駄目だからな。道のりは遠い」

 

 一層気合を入れ直す四人。今できることを見つめ伸ばしていくために己について見つめ直す。


 「俺はナイフだったな。いつのまにか手元にあったのと、謎の空間のようなものが目の前に現れた」

 「あぁ、足場にしてたやつね。使い方アレでいいのか?」

 「おそらくだがメインは収納なんだと思う。感触的にはまだ何か出てきそうだったからな」

 「話聞いた感じだと武器が出てくるんじゃないか?」

 「触れると増えるのかな?」

 「それはどうだろうな。俺あのナイフには触ったことないし」

 「難しいね」

 「これが片付いた際に依頼を受けながら皆さまで特訓しましょうか」

 「さんせーい!」

 「あとは御影だな」


 三人の視線を一気に受ける御影。自前の能力のある二人に少し気後れするような形で話し始める。


 「俺の本来の権能ギフトはいまいちよくわかんねぇんだよな。今使える加速と重力操作は俺のじゃないし」

 「御影さん自身に使える以上本人の力だと認識してもいいと思いますけどね。力がその方と同系統ということも十分あり得ますし」

 「そうなのか、でも別に何かあると思うんだよな」

 

 声音に少し焦りを含んでいる返事はすでに力が発現している二人と比べ、不安を含んでいるようだった。

 

 「そう焦ることもないです!まだガーデンに来て1週間も経ってないんですから」

 「ありがとう。これから頑張るよ」

 「しかし、高速移動とあの投擲は普通に武器になると思うんだが駄目なのか?」

 「駄目というよりはあんまり馴染んでない感じがするんだよな。自分っぽさがないというか」

 「意外と贅沢な悩みだね」

 「確かにそうかもな。のんびり待つよ」

 「俺たちはこんな感じか。うさぎは今何かあるのか?」


 申し訳なさそうに苦笑いするうさぎ。


 「現時点では、権能ギフト無いに等しいんですよね。うさぎのギフトは名前依存だったので……経験でなんとか立ち回るという感じです」

 「でもゼロじゃないんでしょ?」

 「そうなんですが説明するのは難しいし、譲り受けたものかつ一回限りの大技なので……」

 「わかった。うさぎのことはうさぎに任せるよ。うさぎの方が先輩だしな」

 「そうだね」

 「あぁ」


 かくして時は過ぎてゆく。約束の刻限までは少しあるが、一同は少しでも休みたい気分だった。

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