第11話 ロココの家に行く

「いつも有難うございます。」


俺は冒険者ギルドに回復ポーションを納品に来た。

聖水の雫みせの売り上げは全然無いけど、ポーションの売り上げだけでも十分だからいいか。

儲けることが目的ではないし。

俺は小さいころからお店を持つのが夢だった。

思ってたよりも早く願いが叶ってしまった。


最近は新商品の開発に力を入れている。

こうなるとお店のオーナーというよりは職人かな。

お店が暇だから、余裕でポーション作ったり出来ているのだが。


「オーシャンさんのポーションは品質が良くて助かってます。高品質なものは出回っていないので。いつも有難うございます。」

リリカさんに感謝される。


だから、強盗に狙われたのね・・。

もう過ぎた話だけど。


そういえば何か忘れている気が・・・。



****



バタン!

勢いよくドアが開かれた。

「オーシャン!」


そこに現れたのは赤髪の・・アイラ姉だった。

「全く実家うちに来ないし、連絡も寄こさないし・・倒れているのかと思ったよ・・。」


実家に行くの忘れていた。

たまに帰るって言ってたのに。


「ごめん、ごめん最近忙しくてさ、すっかり忘れて・・うわ」

アイラ姉がぽかぽかと殴ってきた。

痛くはないけど。


「心配したんだからぁ。みんな心配してるんだから・・。」

泣いてるアイラ姉。

悪いことしたな。

それから俺は実家に手紙を書くことにした。



****



「家来ない?」

お店のカウンターに寄りかかってロココが言った。


この前のデートから少し親しくなって呼び捨てになった。

ロココはとっくに俺を呼び捨てにしてたけどね。


「親が紹介しろっていうの。」


そうなんだ・・。

俺行っちゃっていいのかな?

平民だよ?

多分ロココさんは貴族だと思う。


「あ、えっとねギルドにポーション卸してるって話したら・・面白いから会いたいって言ってるの。」


そっちか。

ほっとした自分がいた。


なんて思っていたのだが。

大きなお屋敷。


驚きすぎて声も出ない。

「どうしたの?入るよ?」

緊張する・・・。


応接間に通され、ロココさんの父親が長椅子に腰かけている。

少し白髪が入り混じった金髪の髪。年相応のしわが刻まれている。


「私は、レイン・アルフレッドだ。いつもロココと仲良くしてくれて有難う。」


「よく来てくれたね。今日はお店は閉めてきたのかい?」


「はい。閉めてきました。俺はオーシャンです。娘さんとは常々仲良くさせて頂いてます。」

何だか緊張して上手く喋れてない気がする。


「実は折り入って頼みがあるのだが・・友人レオから頼まれてね。君を城で雇いたいと言っているんだが、どうかね?」


「お、お父様?何を仰っているのですか。」

ロココが慌てて口をはさむ。


「本来なら当の本人がお願いするところなんだろうが・・。あれも中々忙しいみたいでね。」


え?

思考が停止した。


俺を城で雇うって・・・?

「まだ若いだろうって言ったんだけどね。若いから柔軟な発想ができるからなお良いとか・・。」


「ちょっと待ってください・・。急に決められません・・。」

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