第9話 居ないと気になる

最近ロココさんがお店に来ない・・。

毎日見ていたので、来ないと来ないで気になる・・。

多分、何処かに遊びに行っているんだとは思うけど・・。

夏休みだって言ってたしな。


作った聖水を試しに自分につけてみた。

手とか腕とか。

魔物来なくなるのかな?

そう簡単にいかないか。


俺は冒険者ギルドに来ていた。

お店に一人でいてもつまらないし、ふらふらと来てしまったのだ。


「あれ?何かしました?」

受付のリリカさんが声を掛けてきた。

「何って・・?」

「オーシャンさんから微量の魔力を感じるんですけど・・。」

へ?

もしかして・・。

「聖水を付けてきたけど・・。」


心なしか周りの反応もいつもと違うような・・。

「ちょっと測ってみてください。」

そういうとリリカさんは大きい水晶を抱えて持ってきた。

「手をあててくださいね。」


水晶が輝き始めた。

「あ~やっぱり。オーシャンさん光属性レベル30ありますね。今まで気づかなかったんですか?」


「魔法使えると思ってなかったから、測ったことないし。」


「もしかして回復魔法使えるかもしれませんね。」


実は冒険者向けの雑貨屋を営んでいて、回復ポーションを作っていることを話す。


「今度ギルドに持ってきてください。是非見てみたいです。」

鞄の中から回復ポーションの瓶を出した。


「一応持ち歩いてまして、これでいいですか?」


「有難うございます。早速鑑定しますね。」

他のギルド職員が出てきて、鑑定の魔法を使ったらしい。

鑑定結果は


最上級品質 回復ポーション

だった。


なんとギルドに回復ポーションを卸すことになってしまった。

お陰で冒険者しなくてもよくなった。

他ののポーションも作ってくれと頼まれたけど。

これで出稼ぎに行かなくてもよくなったな。



****



聖水の雫の店の奥で、俺はポーション作りにいそしんでいた。

「オーシャン?冒険者は辞めたの?」

最近いなかったロココが顔を見せた。


「実は・・ポーションをギルドに卸すことになってさ。」


「ええ?それは凄いね!」


「私ね宣伝いっぱいしてきた~。」


ええええ?

「大変だったんじゃ・・・。」


「無理はしてないから平気だよ。友達とか友達に話しまわっただけだから・・。」


そんな事してくれてたんだ。

「ありがとな。ゆっくり休んで・・。」

俺はロココの頭を撫でた。

なんていい子なんだ。



*****



「がっこ~もう行かない~。」

ロココさんが突然そんなことを言い始めた。

「ここにいるほうがいい~。」

だらだら生活に慣れてしまったようだ。

「勉強つまんないし~。」


行ったことないから分からないけどつまらないのか。

「オーシャンいないし~。」

ん?


「俺はいつでもここにいるけど?また来ればいいんじゃ・・。」

「オーシャン来てよ。今度は。もう帰んないとだし。」


「どこに住んでるの?」


「アルティナ王国」


「え?めっちゃ遠いじゃん!」


驚いた。

てっきり近くに住んでいるのかと思ったら・・。

馬車で3日はかかるとこだ。


「すぐには行けないとけど・・。だけど必ず行くから。」

俺はロココと約束をして別れた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る