第5話
「でここが遺跡か...... でかいな」
目の前に石造りの巨大な建造物がある。 エジプトのピラミッドのような大きな石を積んでできているようだ。
「ああ、ここからでてくるモンスターの駆除が依頼だ」
「でもここのモンスターは強いよ。 みんな依頼じゃなきゃ来ないぐらいだからね。 頼まれた回復薬のポーションもかなり持ってきたから分けとくね」
ラクレイから事前に買ってもらっていたポーションを受けとる。
「しかしポーションって結構高いな。 誰か他に回復魔法使えるやつとか仲間にできないのか?」
「魔法使いは人気なんだ。 特に回復魔法使いはな。 俺たちみたいにEランクの冒険者の仲間になってくれるやつはまれだ」
ガルムがいうように冒険者にはランクがあり、Sランク(ミスリル)Aランク(プラチナ)Bランク(ゴールド)Cランク(シルバー)Dランク(アイアン)そして、Eランク(カッパー)となっていて、俺たちは最も下のEランク(カッパー)だった。
「ランクによって受けられる依頼も限られているからね。 僕たちは雑用みたいなもんだから、パーティーに加わってくれる人は少ないさ」
ラクレイは困った顔でいった。
「だから、こういう遺跡でお宝を狙うんだよ」
ガルムが剣を抜きかかげた。
「......大丈夫かよ」
俺は不安ながら、二人のあとをついていった。
遺跡内は石壁の通路がつづく。
「迷路にはなっていないんだな」
「ああ、部屋はあるがほとんど一方通行だから、前からの敵さえ気を付けていれば、最悪逃げられる」
「たいして調べられてないんだな」
「そりゃ、俺たちの世界はこっちより古い、一万や二万年の遺跡なんてゴロゴロしてるからな」
「そうそう、何十万年前のなんてのもあるよ」
二人はそういった。
「そういやそうだったな。 でもその割には科学文明が進んでないな」
「そりゃあ、モンスターが山ほどいる上、多くの戦争やらがあったからな」
「それに、魔法があったから、こっちみたいに科学技術が進歩しなかったんだ。 せいぜい錬金術ぐらいだね」
ラクレイがスマホで地図を作りながらそういう。
「......なるほど、確かに魔法があれば科学は必要なかったのかもな。 けがなんかは回復魔法やポーションだし、必要性がないなら技術革新もないのか」
「くるぞ!」
耳をピクリと動かしたガルムの声でかまえる。
ラクレイの灯りで照らされて前から巨大な芋虫が二体ちかづいてくる。
「ダンジョンクローラーだ。 たいしたモンスターじゃないけど、マヒの液を吐いてくるよ」
「俺とガルムの盾で防ぐ、そのすきにラクレイ頼む」
「よし」
「わかった」
俺とガルムは盾を前にして突進する。
ビシュ、ビシュー
と芋虫は体をもたげ黒い液体をはき掛けてきた。 それを盾で防ぐ。
「よしラクレイ今だ!」
「いくよ!」
ラクレイは飛び出し斧でクローラー二体を切り裂いた。
「よしラクレイやったな!」
「楽勝だったな」
「うん」
「それにしてもマモルは適応するの早いな」
ガルムがそういいながら、スマホでモンスターを写してギルドに送信している。
「お前らが言うか......」
「いや、道具は使い方覚えりゃ使える。 獣じゃないんだからな。 でも戦闘は命がけだからな。 それだけ動けるのは大したもんだよ」
ガルムが感心し、ラクレイがうんうんとうなづく。
「そうだね。 モンスターにも臆さないし、僕ははじめてなんか震えてなにもできなかったのに」
「まあ、あまり動じないといえばそうかな。 結構早く両親がしんで一人だったからかな」
「ほう、それは俺たちと同じだな」
ガルムが盾をふきながらいう。
「そうなのか、頼るものなしに異国へ稼ぎにでるなんて、意外にお前らも苦労してるな」
「まあね。 でも戦争とかもないし、モンスターにさえ気を付ければ
あっちでもまあ生きていけたからね。 不満といえば少し食料は少ないことだよ」
そんな話をしながら通路を奥へと進む。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます