第143話 魂を売る

 本当に私が馬鹿だった…


 最初から、そのつもりだったのかもしれない…


 そんなこと

 信じたくは無かった


 「徹さーん。」


 「徹さーん。」


 「徹さーん。」


 「徹さーん。」


 「徹さーん。」


 徹さんが、必死に私を捜しに来てくれるはず…


 徹さんの赤ちゃんがいる私を

 徹さんが捨てるはず無い…


 あの優しい笑顔を

 優しい声で

 

 そう!あの声で


 「大丈夫?」って


 私が気を失った時

 助けてくれたみたいに…


 きっと来てくれる


 徹さんも私を捜しているはずだから


 「徹さーん。」

 

 「徹さーん。」


 「徹さーん。」


 「徹さーん。」


 「徹さーん。」



 幾ら呼んでも来ない。

 おかしい

 私、山の中に置き去りにされた…

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