第126話 苦虫
麗子の家に近づくと
いつも聴こえる
ピアノの音も
バイオリンの音も聴こえない
麗子さんはいないのかなぁ。
徹は、そう思った
麗子の家の呼び鈴を鳴らすと
麗子の父親が
苦虫を潰した様な顔で立っていた
「入りなさい。」
昨夜、麗子さんを抱いた
応接間に通される
麗子の父親が
「今日、医師会の会合で
陸軍の軍医にあったのだか…」
徹は、話のおおよその検討もつかない。その話は、徹は、知らないのだ。
「はぁ。陸軍の軍医様に。」
「その軍医が、先日、徹君の婚約者を診察したと言うのだよ…」
「麗子さん、どこか、悪いのですか?」
「いや、麗子は、元気なんだが…」
「婚約者は、身重だったと言うので
私は、何かの間違いじゃ無いか、確認したんだが、間違いじゃない。カルテもあるって言うんだよ。」
徹は、焦った。
間違いなく、愛子のことだった。
「人の噂は、当てにならないから
信用もしていないんだけど、街の人が、桶屋に身重の娘がいると言うんだよ。」
徹は、焦った。
昨夜のことをとがめられた時の
対応策は考えたが
愛子のことは
説明のしようが無い
かといえ、事実はバレる
困った…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます