第19話 ワンコ系メイド
人を動物のように例える事は別に珍しい事ではない。
行動で言えば、寒い冬にこたつで必死に暖を取ろうとする姿はネコに見えるし、いつも元気いっぱいでじゃれてくる姿はイヌに例えられる。
容姿で言えば、切れ長でこっちの隙を狙う瞳はヘビに例えられ、癖っ毛の酷い髪はネコなどに例えられる。
性格も動物で例えられるが……この話はこの辺で止めておこう。
つまりこの僕、
古来より続く、列記とした文化と言っても良いだろう!
「だから
「支離滅裂だからね、ジュン君!」
と、メイド服を着た僕の彼女、
四ノ原梓ちゃんはメイド服を着ているが、別にメイドではない。
僕の学校の後輩で、僕の彼女だ。
けれども僕から言わせて貰えれば、メイドである!
食事は全部用意してくれるし、掃除だって毎週欠かさずやってくれる。
まさに至れり尽くせりである。
もう完全にメイドである!
「メイドなのは認めるよね、梓ちゃん!」
「そ、それは……まぁ、ジュン君の事をず~っとお世話したいと言うのは本当だし、その血の一滴に至るまで全部私の料理で埋め尽くしたいというのも本当だし、メイドなのは認めるけど……」
えっ? なんか今、ちょっと危ないセリフが聞こえたんだけど?
大丈夫だよね、ヤンデレじゃないよね!
……ゴホン。それはともかく。
「じゃあ、梓ちゃんはワンコ系メイドって事で!」
「そ、そのワンコ系が気に入らないって言ってるでしょーうが!」
そう言って、僕の事を睨み付ける梓ちゃん。
うん、とっても可愛いし、なんかガルルルルとか言っているし、完全にワンコだと思うんだけど。
「だって、梓ちゃんって絶対にワンコだよね?」
「そ、そんな訳ないでしょ!? そんな犬みたいな事なんてした事ないんだからね! なんなら例を挙げてみてよ!」
例を挙げてって……。そうだなー……。
「まずいつも校門の前で待っててくれる」
「か、彼女なら当然じゃない!」
「こっちを見ると嬉しそうな顔になる」
「うっ……!」
学校では完全に、『主人を待つ忠犬』と言う印象が付いているのを彼女は知らないのかなー?
まぁ、知らないよな。うん。
「デートだってそうだし」
「そ、それは……」
モニョモニョと言って、恥ずかしそうに顔を赤らめる梓ちゃん。
その梓ちゃんの頭に手を乗せて、優しく撫でる。
「ふにゃああああ……//////」
とっても嬉しそうな顔をする梓ちゃん。
その顔はご満悦であり、またしても梓ちゃんがイヌみたいである事を証明することになってしまった。
「うぅ……////// ジュン君の手のひらは反則だよぉ//////」
その後、我に返った梓ちゃんが、顔をさらに赤らめて手のひらで頭を押さえる。その姿もまた激しく可愛らしい。
「でも、なんでそんなにワンコが嫌なの?」
「えっ……。だ、だって嫌じゃない? なんかこう、獣臭いみたいに言われて……」
いや、別にそう言った意味で言った事はないんだけれども。
「違うよ、梓ちゃん。梓ちゃんは臭くない。それどころか良い匂いがするよ。僕は梓ちゃんの魅力を、梓ちゃん自身も気づいて欲しかっただけさ」
「ジュン君……//////」
嬉しそうな顔をする梓ちゃん。
そして2人の間にはロマンチックなムードがいつの間にか漂い始め、そのまま恋人の僕達は抱き合った。
「……ジュン君の身体から、他の女の臭いがする」
香りから分かるとは! まさに犬!
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