第14話 看護師メイド
国立
その病棟の一室、
診断医とは患者の病気がどう言った病気なのかを判断する医者であった。
患者がどのような症状を訴えているかの問診、患者を触って行う問診、患者の健康状態を分析する生体解析、その他にもMRI検査などを行って、病名を判断するのが診断医と言う医者である。
百合山陸朗は看護婦である
「あなたの診察を任された診断医、百合山陸朗だ。よろしく頼む」
「よ、よろしくお願いします/// み、
と、目の前に座って緊張している女性患者、道端星奈に対して、看護婦である縁が言葉をかける。
「大丈夫ですよー。陸朗様は素敵な方ですから」
「あ、あの~……」
と、星奈が縁に疑問を投げかける。
「何ですか、道端様? 患者様の疑問を全て解決するのが私の役目なので、是非お願いします」
「縁さんの言う通りですよ、星奈様。疑問があるのならば……まぁ、その疑問も大体の所は分かってはいますけれども、質問してくれて構いませんよ?」
「まぁ!? 陸朗様は分かっていらっしゃいますのね! 素晴らしいですね!」
「あ、あの~……質問して良いでしょうか?」
と、自身の世界に入りだした縁に、星奈は質問をしようとしていた。「はい、大丈夫ですよ!」と縁は言って、星奈は質問をする。
「え、えっと……看護師さんはなんでメイド服を着ているんですか?」
と星奈は、看護師である縁、その彼女の格好に疑問を持っていた。
この大学病院で勤めている看護師は、少し桃色味がかったようなナース服を着ている。
だけれども、縁が着ているのは薄紅色が目立つエプロンドレス、メイドが着るようなメイド服であった。
もう一度、言おう。
看護師であるはずの縁が着ているのはナース服ではなく、メイドが着ているようなメイド服であった。
「看護師さん……ですよね? それなのに、なんでメイド服を?」
「ふふーん! それはですね。この方は何を隠そう、百貨店業界にその人ありと言われた
その言葉に、「えぇ~っ!?」と言う星奈。そして嬉しそうな誇らしげな顔で見る縁。
「あ、あのここいらの百貨店業界全てを取り仕切っているとされている百合山玄蔵様の息子様がこんな所で医者をしていらっしゃるとは!?」
「ふふーん! 世間では金持ち息子の道楽と思われているようですが、陸朗様のおかげで解決した事件は数知れずありますので、それはちゃんとしている物なのですよ!」
いや、そんな褒められる事でも無いと思われるが……。
「と、とにかくまずは病名の確認をさせていただきましょう。まず頭痛は?」
「そうですね……朝からちょっと……」
「はぁ、頭痛がある、と……縁、記録しておいて」
と縁は、それを聞いて「はい!」と嬉しそうな声で言いつつ、
「はい! 症例、頭痛を手に入れた!」
その言い方に陸朗と星奈の2人は溜め息を吐きながら言葉を止める。
「縁、その言い方は止めてくれ……」
「……? 分かりました。では……症例、頭痛を手に入れたぜ、この野郎!」
「その言い方はダメだろう!」
「じゃあ……症例、頭痛をこの胸に……」
「普通に記録して貰えないか?」
と、縁にそう言いながら頭を抱える陸朗であった。
ちなみにこの患者の病名は後でちゃんと判明したとさ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます