第15話
対岸の一か所へ向けて固定された監視カメラのレンズフードにトンボが止まっていた。大きなトンボだった。噛まれると痛い奴だ。昔やられたことがある。あのときは血が出た。指先に食いつかれたのだ。幸いなことに傷は浅かったので、舐めていたら血は止まった。跡は残っていない。
それでも若干のトラウマが残っている。出来ることなら近寄りたくない。
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