アメジストの物語
結局のところ、恋人になれるかはインスピレーションなのよ――と彼女は力説しているけれど、私はピンと来なかった。そもそも、彼氏を取っ替え引っ替えしている彼女の様子を見ていると、楽しそうではあるけども幸せそうには見えない。
恋愛をスポーツみたいに考えているなら、別にそういうのもアリだとは思うんだけども。
結婚がゴールであるならば、考え方を見直したほうがいいんじゃなかろうか。判断力を磨くべきではと呆れて返せば、彼女はあからさまに頬を膨らませた。
「若い今が花なんだからね! 結婚したら、パートナー以外とセックスする機会なんて絶対に来ないし。いろんな男を知れる今動かないで、いつやるわけ?」
「んじゃ、セックスが上手い男と結婚するの?」
「それとこれは別」
彼女はハイボールをグビグビと美味しそうに飲んだ。
「あー、でも、理性がぶっ飛んだ勢いで結婚を決めちゃうかも」
「酔いすぎだよ」
私は酔っ払いの戯言だと笑ったけど、彼女が結婚を決めるのはそういう瞬間かもしれないなと密かに思った。
《終わり》
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アメジストの宝石言葉
【インスピレーション】【判断力】【理性】
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