サファイアの物語

 ――聡明な彼女は英知を求めて高みにのぼりつめることだろう。


 どこぞのお偉いさんが幼い私にそんなことを告げたおかげで、聖女にまつりあげられること十数年。確かにお偉いさんの目は間違いがなかったらしく、私はこの国の危機を幾つも解決することとなった。

 それはそれでいいのだけども。

 私は永遠に生きるわけではないし、この聖女というシステムとして一生を終える気もないのである。

 普通の恋をして普通に子どもを産んで育てたい、そんなことを願っているものの、そろそろ現実性を考えて行動しないとまずい気がする。

 できるなら、誠実な愛を得たいのだけども、近づいてくる男には期待できない。

 私の全力なら、ここから逃げ出すのは容易いんだけどなあ。いい男、いないからなあ。

 今日も私は片手間で国を繁栄させながら、自分の未来をひたすら嘆く。



《終わり》


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サファイアの宝石言葉

【英知】【聡明】【現実性】【誠実な愛】

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