mana'o(信念)

 水平線の上で、ゆらゆらと夕日が燃える。‬湿気た昼とせた夜が重なる。

 小さな小さな南の島で。古き良き神話の眠る常夏の島で。‬私は今、身命を賭してこの島を守った彼を、胸に抱いている。‬

 夕凪に誘われ、壺を傾ければ、真白い粉が流れ落ちた。水のようにさらさらと。星のようにきらきらと。

 水面を揺らした直後は、その場で漂い濁っていたが、‬しだいに散らばり沈んでいった。

 彼は海へと還ったのだ。‬

 緋く、碧い、美しき誇りとともに。‬

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る