魔女と家族

 むかしむかし。霧の深い森の中。

 魔女が女の子を拾いました。どうしたものかと悩んだすえに、魔女は女の子を育てることにしました。

 魔女の愛情を一身に受け、女の子はすくすくと育ちました。

 好奇心旺盛な女の子はいろいろなものに興味を示しましたが、一番のお気に入りは絵筆でした。

 三歳のとき、母から与えられた紙に初めて絵を描きました。七歳のとき、草花や石の染料で色の作り方を覚えました。十一歳になれば、彼女の画力はめきめきと上達しました。

 館の庭では、稚拙で可愛らしいお花が揺れ、色彩鮮やかな妖鳥が羽ばたき、たいそう毛並みの美しい白虎が寝そべっています。

 そうして、彼女が十五歳になったある日のこと。

「何を描いているの?」

「竜です!」


 霧の深い森の中。

 今日も、楽しそうに遊ぶみんなの咆哮が、響き渡ります。

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