透明の蝶
どれくらいの時間、飛び続けているのだろうか。美しいはずの蒼い羽根は、ぼろぼろだった。
冷たい空気が鋭く突き刺さり、傷口をえぐる。零れ落ちた雫は、闇に吸い込まれて消えていった。
小さな体に秘めた罪と罰。休める場所など、眠れる場所など、どこにもない。残された時間も、あとわずか。
夜空に浮かぶ蒼い月だけが、その姿を照らしている。月だけが、すべてを知っている。
もしも、願いが叶うなら。
もう一度、暁の色に染まりたい。
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