ep17 相馬創の評価&【探索者について語るスレ1903】
探索者ギルド日本支部の会議室。
円卓を囲むように六人の老人が顔を突き合わせていた。
手元の資料には、先日『三船ダンジョン』で討伐されたモンスターについて記されている。
「これは、本当なのか?」
「二十メートル越えのレッドドラゴンに、ナイトメア・オークの討伐。それを
レッドドラゴンはかつてレイジがパーティーを組んで、どうにか倒すことができた相手。
ナイトメア種に関しては初見で討伐出来た者はおらず、あのSランク探索者ジョン・カーターも一度敗走している。
つまり、この資料が事実とすれば、それ即ち偉業。
老人たちは資料から顔を上げ、ゆっくりと息を吐いて呟く。
「……流石ワシの推し」
「いやいや、ワシが最初に見つけたから」
「ワシの最推しが強すぎてやばば」
「相馬くんしか勝たん」
「孫と結婚して欲しい」
「レイジとかいうクソ生意気な小僧より、何倍もかっこいいわい」
「わかる。つかレイジ嫌いじゃ」
「お前さんは好きな配信者がレイジとホテルに入ったのを週刊誌にすっぱ抜かれたからじゃろうがい。探索者ギルドの幹部なら、実力で判断せい!」
「実力でも相馬くんに劣っている件について」
「そうじゃったわい! がははっ!」
わっ、と笑い声に包まれる会議室。
そこに一番の新参者である狸原が声を上げた。
「そう言えば、三船の探索者ギルドから人員補充の要請が来ていたが、どうしますか?」
その発言に、老人たちは真剣な表情を浮かべる。
「ワシ、かわいい子には旅をさせたい派じゃ」
「そうじゃのう。大変なのはわかるが、相馬くんなら一人で回せるしのう」
「うむ、大変なのはわかるが、これをばねにして是非日本人初のSランク探索者になってもらいたい物じゃ」
「……つまり?」
狸原の問いかけに、老人たちは声を揃えて答える。
「「「「「補充はなしで!」」」」」
そうして無意味極まる幹部会議はお開きとなった。
全員漏れなくクソ野郎である。
最後に会議室を出た狸原は一人思う。
(補充の件、老害共の意見はともかく、俺としても反対だったから良かったな)
手元の資料を捲っていくと、そこには三船ダンジョンに関するデータが記されていた。昔から高い頻度で強力なモンスターが出現するが故に『魔窟』と呼ばれていた三船ダンジョン。
しかしそれでも一、二か月に何度かという程度。
他のダンジョンが半年に一回あるかないかという事を考えれば『異常』だが、それでも他の地区の探索者を向かわせて対処させることができていた。
が、定住までして活動する者はいない。
三船町周辺は何もないド田舎な上、三船ダンジョン自体特別実入りがいいという訳ではない。異変に対処できるほどの高ランク探索者なら、もっと立地の良いダンジョン付近での活動を希望していた。
そんな中で現れたのが、三船町出身で才能あふれる少年、相馬創だった。
これで安心、と思ったのも束の間。
どういう訳か、相馬創が本格的に攻略を開始してからというもの、異変の頻度が爆増していた。一か月に数回から、一週間に数回、そして現在ではほぼ毎日。
加えて出現するモンスターのランクも上昇している。
ここ一週間に関しては、ゴブリンロードにゴブリンキング、それにドラゴンとオークのナイトメア種と……はっきり言って
(故に、半端な探索者は向かわせたくない。最近一人新人が入ったそうだが……せめて相馬くん一人で面倒を見切れる人数じゃないと死人が出る。だからと言って高ランク探索者は性格的に面倒なのが多いから移動させるのは難しいし……)
などと考えていると、秘書の宮本が駆け寄ってきた。
理知的なメガネの茶髪の女性だ。
今年で二十七歳、独身である。
「相馬さんの報告、本当なのでしょうか?」
彼女はほぼ無名のAランク探索者について懐疑的であった。
倒したという証明になる魔石も、お弁当を食べてたら忘れたという意味不明な理由で回収出来ていないため不確か。
しかし狸原は笑う。
「彼は嘘をつかんし、報告された内容も彼の実力を考慮すればおかしなところは無い」
「ですが、あの『魔銃シリーズ』が一丁、No3.サファイアを連射したという報告はさすがに──」
宮本が怪しむのも当然だった。
上下二連式魔石銃【No3.サファイア】。
Aランク指定のモンスターすら完封する武器であるが、かつて約七千万円と破格な値段で売りに出されていたのにはそれなりの理由がある。
それ即ち『起動』、『銃弾生成』に極大魔法一発分の魔力が必要だと言うもの。
「あのレイジさんですら極大魔法は日に五、六発が限界だとか。それを彼は――」
「そりゃあ、魔力量だけで言えば、レイジは相馬くんの足元にも及ばないからなあ」
「え?」
「宮本、魔力量のギネス記録を知っているか?」
「はい、ロシアのルキーチ・カラシニコフですよね。Sランク探索者の」
「そう。それじゃあ二番目は?」
「いえ……まさかっ!」
目を見開く宮本に狸原が頷く。
「そのまさかだよ。レイジの魔力量は約七万。ルキーチ・カラシニコフが五十八万ほど。そして相馬くんは――約五十五万」
「それって──」
「あぁ。相馬創くん。彼は、世界でたった二人しかいない
「彼が……」
宮本は手元の資料に視線を落とす。
どこからどう見てもごく普通の高校生。
どこか焦点の定まらない視線からは疲労困憊の様子が伺えるが、それが実力者の証なのかもしれない。
「因みに今年の彼の年収はすでに五千万を超えている」
「ぜひ紹介してください」
「ほざけ」
目の色を変える宮本を狸原は一蹴するのだった。
§
【Aランク】相馬創について語るスレ8
54名無しの探索者
ドラゴン&ナイトメア種討伐したらしい
55名無しの探索者
バケモン過ぎて草
レイジばっか挙げられるけど相馬もやばいよな
56名無しの探索者
魔力量世界二位やしな
57名無しの探索者
でもビックリするぐらいテレビで取り上げられへんよな。
ネットニュースにすらなってない。
58名無しの探索者
マスコミはレイジの方が数字取れるしな…
日本最強『雲龍怜司』ってイメージを壊したくないと思われ
まぁ、大半のスポンサーにレイジの親の会社があるのも関係してると思うが
59名無しの探索者
三船町の新聞には載ってたぞ!
さすがは三船の守護者!!
60名無しの探索者
お前三船町民かよ。俺も〜
61名無しの探索者
ナカーマ
62名無しの探索者
町民多すぎw
てかそれ以外に知られて無さすぎるんや…もっと人気になってクレメンス(切実)
63名無しの探索者
ほんそれ
§
探索者について語るスレ1903
123名無しの探索者
そう言えばどっかのAランク探索者が大怪我したらしい
124名無しの探索者
マジ?
Aランクが大怪我ってヤバいやろ
125名無しの探索者
一応倒したらしいが、レイジ見習ってほしい。
つか、雑魚がA名乗んなと思う
126名無しの探索者
それな、もっと基準を引き上げた方がええんちゃう?
127名無しの探索者
【速報】レイジのパーティーが渋谷ダンジョンの八十四階層に突入した模様
128名無しの探索者
ま?
129名無しの探索者
さすレイ
130名無しの探索者
この前八十三階層突破したばっかじゃなかったっけ?
もう走破したとか化け物過ぎww
131名無しの探索者
レイジが化け物とか当たり前
こりゃダンジョン完全攻略も目前やな
132名無しの探索者
この場合、パーティー全員がSランクになんの?
133名無しの探索者
>132ならん。
Sランクに認められるにはいろいろ条件があって、ダンジョン完全攻略はそのうちのひとつ。現状レイジのパーティーに他の条件埋めてるAランク探索者がレイジしかいないので、完全攻略したとしてもSランクになるのはレイジだけ。
134名無しの探索者
また
135名無しの探索者
>134ほんそれ。
ガキの頃なんも分からんくて耳塞いでたから今度はちゃんと聞きたい
136名無しの探索者
あの・・・鐘の音って何ですか?
137名無しの探索者
ggrks
138名無しの探索者
おっぱい見せるんでお願いします!
139名無しの探索者
>136
鐘の音ってのはダンジョンが完全攻略された際に世界中に聞こえる謎の音のこと。
ジョン・カーター、ルキーチ・カラシニコフ、アサド・モハメドがそれぞれ攻略経験があるので今まで三度鳴ったことあるんや。
140名無しの探索者
まって、138で変なこと言ったからおっぱいにつられたみたいになったやん!
141名無しの探索者
>140
男の人っていっつもそうですよね!
142名無しの探索者
>140
はぁ~これだから変態は
143名無しの探索者
>140
別に見たくなかったけど、お前のせいで136がおっぱいみせることになったやん。かわいそ~
144名無しの探索者
くそ! 俺の親切心が……
145名無しの探索者
約束通りおっぱいの写真貼りますねっ【写真】
146名無しの探索者
うひょひょひょ~!!
……は?
147名無しの探索者
わぁ、すっごい巨乳の雄っぱいだね!
148名無しの探索者
>145
きみ、よく無能って言われない?
149名無しの探索者
>145
むっちむちの大胸筋で草
150名無しの探索者
>145
ホモ大歓喜
151名無しの探索者
スレチやからよそでやってくんね?
それより大怪我したAランクやろ
152名無しの探索者
>151
調べたら相馬創って出てきたわ
何でもレッドドラゴンとナイトメア種を倒したんやって
ちな証拠の魔石は回収忘れた模様wwwwwww
153名無しの探索者
>152
絶対嘘で草
154名無しの探索者
聞いたこともない名前やし、雑魚狩りのAランクが調子乗ってポカやらかしたんやろ
155名無しの探索者
身の程わきまえて行動しろって話すぐるwww
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