50 「桂健志郎・ひとり勉強会」

 2024/03/08(金)17:51 かきはじめ


 ※わたしの、カクヨム近況ノート限定で、会に参加した方が絶対に上げられていないであろう「私服姿の健枝郎さん」画像を載せています。


 昨日に挙行された地元の寄席に、桂健志郎さんがいらっしゃいました。

 ゲスト出演される方がいらしたり、するのかな? と思ったのですが昼夜ともに、お一人で通されていましたよ。

 んじゃ昼の部。


 一、狸賽

 一、恋より仕事

 仲入り

 一、桜ノ宮


「狸賽」これが今まで知ってるバージョンとは違っていて! 「裏の目を当てる」というもの。

 え、こんな狸賽もあったんだー! って、すごく新鮮でした。ちょぼいち、と呼ばれるサイコロひとつを振る話です。が、今まで拝聴してきたものはあくまでも、表の目だけを当てるもの。サイコロは表裏の数字を足すと七になると、いわれます。是非とも、もう一度拝聴したいです! マクラで仰っていた「いただいた絵柄がオシャレな花札」みてみたいなーって。

「恋より仕事」健枝郎さん作の噺。これね、心底から拝聴したかったんですよー! 興味津々で拝聴いたしました。

 七夕の織姫彦星伝説って、あるでしょ。服屋を営む織姫社長が、自社の経営不振に悩んでいる。会長である父親が「今日は七夕なのだから、彦星くんに会ってこいよ。せっかくの夫婦なんだから」と言うが……。

 織姫さまは亭主である、畜産会社社長の彦星に会いたくない。ご主人が社長を務めている会社は着々と業績を伸ばしているんだって。

「会いたくない」と織姫さまはいう。

「なんでよ、毎年まいとし天の川を渡るカササギに、予約も入れているのに」

 彦星さんは、お嬢さま育ちの自分と違って、成り上がり。そんな彼に会えば、おそらくマウントを取りにくるだろう。

 しかし彦星さんにも悩みはあって。自分とこの会社が、偽造牛肉を使っていたのが週刊誌に嗅ぎつけられてしまったのだった。会見を開かなくちゃいけないかも?! そんなことより、自分たちに対しての世間の評判はガタ落ちしてしまうだろう。今日は折角の七夕だけれども、妻との逢瀬などと悠長なことは言っていられない。

 発想がすごいなあ、と素直に感じ入ってしまった。織姫さまは、機織りの人というところからの服屋の社長。彦星さまは牛飼いだから、畜産会社の社長。それぞれが仕事の重責を担い打ち込んでいる姿は、なんだか非常に爽やかでした。健枝郎さんならではの知性を感じさせるクスグリも絶品です。

「桜ノ宮」大ネタでしたー。

 登場人物が非常に多い噺でありながらも、きっちりと演じ分けてサゲまで持って行く力量ってすごいよね。昼の部を終えての感想。この噺家……健枝郎さんに対しての再発見も数々あった。ストーリーの途中、意外にも野性を感じられる表情も見つけたような気がします。あらためて好きになったというか。

 昼の部だけでも「独演会レベル」で、すごいと思うんだけど(語彙がない/汗)。

 輪をかけて夜の部。


 一、宿題(桂三枝・作)

 一、由来石

 仲入り

 一、住吉詣り


「宿題」桂雀太さんで、たしか……。一度拝聴していたと思う。これって桂三枝さま、現六代目・文枝師匠の作品だと知らなかった! 他の噺家さま方も、演じられているようですね。ほんと知らんかった、まだまだ修行が足りません。

 さて。

 子どもの塾の宿題に悩む父親。会社では課長として、おドジな部下である山之内くんの育成に悩んでいる。が、山之内くんは子どもの宿題を相談すると、本領を発揮する部下だったのだ。実に明快に答えを出してくる。この妙なバランスが、いいのよいいのよー。

由来石ゆらいせき」いま、パッとグーグル先生で調べてみたら健枝郎さん作の噺のようですね。古典かと思っちゃったよ! あまりにも様々に馴染んでてさ! これも相当にすごいストーリーテラーだと思うんだけど、時代小説とかもサクサクッと十万字くらい書けそうな落語家、おそるべし。漬物石に歴史と由来を付けたい男の「思い」が、時空を超えている。

「住吉詣り」先日に林家染吉さんで「なんだこれ」と驚愕してしまった感情がバッシバシに、よみがえってきました。引きこもりで読書ばかりしていた若旦那さんが世間を知り、覚醒していくストーリー(成長とは違うと思う。個人的に)。病気の父親をかかえた箒屋の娘にとっても、奇跡のようなシンデレラストーリーだったんですね。若旦那が少しずつ変わっていくところが丁寧だけど、非常にさり気なく演じられていました。もう大満足です。

 これで昼夜ともに、あの木戸銭は安すぎる。来月には弥壱さんとの二人会「イージーライダー」もあるし、日程が合えば是非に参戦したい。


 追記:先日の三人怪談で披露した「もう一人」かけるかと思っていたが違った。とてもうれしい誤算の昼夜でした!










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