予想外

 .





 それから、2日後……。


「こんにちはー、さくらちゃ……って、あれ?」

「あ、医師……」

「さくらちゃんのお母さん。あのぅ、さくらちゃんは一体何処へ……?」

「それが……」


「あー、医師ぃ~っ」


「え……? さくらちゃんっ!?」


 医師はわたしを見て、すっごくビックリしてた。


「医師、どうしたの?」

「あ……いや、うぅん、何でもないよ」

「うん? そう、じゃあねぇ~」

「さくらっ、待ちなさいっ!!」





「……あのー、さくらちゃんのお母さん?」

「はい」

「これは一体、どういうことでしょう……?

さくらちゃん、車椅子に乗ってますね。―――ちゃんと自分の手で操作しながら」

「昨日は、私がずっとさくらの車椅子を押してたんですよ?

でも、あの子、『もう一人で操作出来るっ!!』って聞かなくて今日試しにやらせたら、あのような状態に……」

「え、でも、食事の時、箸はまだちゃんと持てませんよね?」

「はい。今日の朝食も箸が持てなくて、スプーンとを使って食べましたよ」

「じゃあ何で、車椅子を一人で操作出来てるんですか?」 

「うちのさくらは、昔からそういう子です。人の考えをことごとく、いつも覆すんですよ」

「そう、ですね……。僕の予想だとリハビリは早くて一週間…遅くて一ヶ月後だと思ってました。すごい、です……」

「医師。車椅子に乗って操作するのも面白いと言ってましたが、さくらは早くリハビリを始めて、自分の足で歩けるようになりたいんです」

「……分かりました。リハビリを始めましょう。ただし、こちらにも手続きというものがあるので多分リハビリは早くても明後日からになります。よろしいですか?」

「よろしくお願いします」


.

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る