世界から虐げられてきた陰キャ、ダンジョン配信でバズりすべてに復讐する ~無自覚な最強探索者、SS級ヤンデレ美少女配信者に溺愛され人生が逆転する~
ヒトども
第1話
黒上賢太は、いつも通り今日も不幸だった。
賢太の家は生まれつき貧乏だった。
両親も掛値のなしのクズ。暴力や虐待は当たり前。
父親はろくに仕事もせず酒浸りの毎日。
母親は他所に何人も男を作り、ほとんど家にいなかった。
当然、欲しいものを買ってもらった記憶も
遊びに連れていってもらった経験も一度もなかった。
いわゆる、親ガチャに外れたひとりだった。
貧乏だったことに加え、
賢太は小さい頃から太っており、容姿も美形とは正反対のものだったので、
学校でもいつもイジメられていた。
初めは小学校の低学年のときから。
それから中学生、高校生となってもイジメは続いていた。
教師や親戚、近所の人間すらも、賢太を蔑んだ。
これまでイジメに関わった相手は、ゆうに100人を超えていた。
そんな賢太にも、唯一会話してくれる、幼なじみの女の子がいた。
水瀬麻衣。
美人で性格もよい、と評判で、いつも人気者だった。
物心ついて間もないくらい小さい頃、砂場で一緒に遊んでいたとき、
将来は賢太のお嫁さんになる、と言っていたことを今でも覚えている。
だが高校生になってすぐ、
麻衣が賢太と同じクラスの男子と付き合っていることを知った。
その相手は、賢太をいじめている主犯のひとりだった。
裏で麻衣が賢太のことを彼らと同様に馬鹿にしていることを、
後になってから知った。
黒上健太は、それでも世界を恨んではいなかった。
貧乏でまともな家族も友達も彼女もいない賢太が、
青春の時間を費やしたのは、ダンジョンだった。
ダンジョン――数十年前より、世界各地に突如として出現した謎の遺跡群。
それらと同時に人々に発現した特殊能力〈スキル〉。
だが、それすらも賢太を幸せにはしてくれなかった。
賢太は1千万人にひとり、という確率で発生する、
〈スキル〉を持たない〈
だが、それがなんだというのだろうか?
賢太はそう思った。
生まれつき不幸だった賢太にとって、それは特別な不幸でもなかった。
だから賢太は、誰よりも長く、深く、ダンジョンに潜り続けた。
幸いにも、その後賢太には、ダンジョンで共に潜る初めての仲間ができた。
賢太はスキルレスの自分なりに、仲間に貢献した。
だがある日、パーティからお前は不要だと追放された。
彼らが賢太を表面上、仲間に迎え入れていたのは、
いざというときの単なる使い捨ての肉壁にできるかも、という考えだったらしい。
何度盾にされても死なない賢太がいい加減邪魔になったと、
たったそれだけの理由で賢太は仲間から捨てられた。
よほど目障りだったのだろう。彼らはわざとダンジョンのトラップに
賢太を陥れて殺そうとさえした。
だがそれでも、賢太はダンジョンから去らなかった。
ひとりで死と隣り合わせの苛烈な戦いを続け、
しかし死を恐れない賢太は、
死線を潜り抜ける度、限界を超えて強くなった。
そんなときだ。
ダンジョンでモンスターに襲われている、ひとりの少女と遭遇したのは。
「き、来ちゃだめ! 逃げて……ください!」
日本人ではない。白い肌、輝くようなプラチナブロンドの髪。
白銀の軽装戦闘着を身にまとい、頭からは猫耳のようなものが出ている。
さらに、彼女の近くには自律式のドローンカメラが浮遊していた。
彼女の前に立ちはだかっているのは、人の5倍はあろうかという
巨大な人影の結晶体。
S級モンスターであり、ゴウレムタイプの最上位種――クリスタルゴウレムだ。
巨大な結晶の腕が、少女へ無慈悲に振り下ろされる。
彼女の頭部が無残に潰される直前。
賢太の拳が、クリスタルゴーレムの腕を砕いた。
「――確かおまえを倒したのは……これで5922体目か」
次の瞬間、クリスタルゴウレムの全身が、跡形もなく砕け散る。
賢太は知らなかった。
彼が素手でS級モンスターを砕く姿が、
助けた相手――登録者1000万人を超える
有名ダンジョン配信者を通じて、全世界に届いていたことを。
「あなたはいったい……」
「僕は、何者でもない。
ただの――
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