「目の敵」

振り下ろされる悪意を寸での所でかわし、一心不乱に虚空へと跳躍ちょうやくする。

目指した壁が迫り、伸ばし切った指先が届いたかに見えた。だが僅かに届かず奈落へといざなわれる。

万が一に備えた命綱が張りつめ、辛うじて落下を免れた。

再び迫る悪意に尻の糸を切り物陰へ。

何でだよ。俺益虫だぞ。

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