第7話 貧民街ーナラクじいさんの家ー
王立学園…そこはコースによって多少身分が関係するが、基本的に平民・貴族問わず誰もが学ぶことができる。このラブライフの世界では、7歳から学園に入学することができる。
(ゲームを作ったのが日本の会社だから、制度も基本的に日本にあわせてあるのよね。ゲーム自体も人生ゲームと恋愛ゲームを組み合わせた新感覚乙女ゲーっていううたい文句だったし…。)
そうそしてこのゲームは新感覚とうっていながら、プレイしてみると定番の学園恋愛ゲームだった。
(パッケージ詐欺じゃんって思ったし…。)と一人で考え事をしていると、タルカがじっと私を見てきた。
「な、何?」
「いや、あんなに小さかったリディーがあと2年で学園に行くのかって…でも少し心配だ。」
(あんたは私のお父さんか!)
「リディーさんは、優しくて頭もいいですし。学園でもうまくやっていけると思いますよ!」
「そんなに誉められて…」
(お世辞だとしても嬉しい‼️ありがとうナティーさん!)
「そうですね!」とタルカは大きくうなずいた。
そんな話をしていたら、ナティーさんのお店で働いてるカタフさんが「旦那様、そろそろお出かけのお時間です。」と言ってきた。
「ごめんなさい、リディー私はそろそろお出かけのお時間のようなのでまたお話ししましょう。」
「わかりました。ナティーさんはお仕事頑張ってくださいね。」
「ええ、それではまた。」と言って私たちはナティーさんのお店をあとにした。
「次は、ナラクじいさんの所だったよな?」
「うん、ナラクさん最近腰をやったらしくて…この湿布薬を届けにいくの。」
ナラクじいさんは、今年70歳になる元冒険者だ。今は、貧民街の一角に家を建てて暮らしている。ナラクじいさんとは、以前タルカに買ってもらった髪飾りを街中で拾ってもらってからの付き合いだ。
(タルカも最初はいくらお忍びと言えど、領主の娘が貧民街にいくなんてと反対していたのに今じゃすっかり抵抗しなくなっている。…馴れってすごい。)
ナティーの店から15分ほど歩いて、やっとナラクじいさんの家に到着した。ナラクの家は前世で言うとこのベニヤ板のような薄い木でできた今にも崩れそうな掘っ立て小屋だ。
「ナラクじいさん、ハマカさんの薬を届けに来たよ。」
「よお、リディーじゃねぇか。久しぶりだ。」とベッド横になっていたナラクじいさんが起き上がろうとする。
「いいよ、寝たままで。ついでに湿布薬貼るから。」
「そうかい。ありがとうリディー。」とナラクは再びベッドに横になる。
「ナラクじいさん、久しぶり。」
「お、タルカじゃねぇか。すっかり美男子になって俺の若い頃にそっくりだ。」とナラクさんは嬉しそうにタルカを見た。
「学園に言ったって、リディーから聞いたよ。」
「うん、そうなんだ。ナラクじいさんに聞いた色々な国の話面白くて、学園ではその話を研究テーマにしているんだ。」
「そうか、わしの話が役立ってよかったよ。」とナラクは笑顔を見せた。
ナラクじいさんは、物知りで色々なことを知っている。例えば、世界の国やどのような文化があるか。それ以外にも、外国の言葉や外国の歴史まで元冒険者ということもあり本当に物知りだ。
「ナラクじいさんは、本当に物知りだもん。話を聞くだけでもすごい勉強になるんだから。」
「リディーが、ナラクじいさんの家に行きたがる理由がわかる気がする。」
「そんな、わしの知識なんか旅をして得たものばかりで。」
「それが、すごいんだよ!知識と情報は大切な財産だから。」
「こんなに誉めてもらえるなんて…ここは地上の楽園かな?」と嬉しそうにしているナラクじいさんの顔を見てこっちまで嬉しくなって自然と笑みがこぼれた。
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