第16話

小箱を空井戸に降ろしていく

そして蓋をした

井戸を囲うように社を造り

祭壇を造った

供養塔は祭壇の隣に建てる

従兄弟の新居と供養塔の間に

かつての中庭よりも立派な庭が造られた


祖父は供養塔と従兄弟の新居が完成間近に

意識を戻す事なく、永眠をした…

僕が離れの襖の前で金縛りにあった夜…

祖父はかんざしと櫛の持ち主に

連れて逝かれたのだと思う


時折、離れが騒がしい事がある…

だが、家族の誰も行かないそうだ

離れは開かずの間にしたと

叔父が話してくれた


僕も都会に戻り、日常を取り戻した



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