唯一の親友である自称不良生徒君
「ここでお別れですのね」
階段を上り2年Bという教室礼が見えた。
どうやら2年B組が俺のクラスで、栄那は一つ上の階の2年A組らしい。
「それじゃ澪未矢さん、お昼ご飯はいつもの場所で」
「あ、ああ分かった」
いつもの場所というのは校庭である。
校庭に栄那と俺の専用のテーブルがあり、そこでいつも執事の料理を食べているという。
...学校これ許していいの?まぁ学園もののゲームにはよくありそうな設定だが。
栄那が去ったことだしこの学校のことを説明しよう。
まずこの学校の名前は
だが私立高校とは言ってもお嬢様お坊ちゃま学校ではなく普通に公立高校に落ちた学生が来るいわゆるすべり止め高校である。
なんでそんな高校にいってしまえば俺や栄那みたいな貴族のような存在である生徒が通っているかはわからない。
おそらく栄那はただ単に俺についてきただけなのかもしれないが、どうして俺がこんな高校に入学したのかはわからない。
俺である夜崎澪未矢の頭が相当悪かったということか?まぁエロゲ主人公あるあるだが。
「...こうしていても仕方ないな」
正直クラスに友達と呼べる存在が何人いるかは分からないが、ボッチは現実世界で慣れている。
おそるおそる教室のドアを開けるともうすでに登校している学生が多いためにぎやかだった。
俺が教室に入るなり何人かは俺の方を向いたが特に気にした様子もない。
...まさかのボッチ設定?
まぁこれもエロゲ主人公のあるあるの設定だが転生先の世界でもボッチとなると少々胸が痛い。
この周りがにぎやかなのに一人だけ机に座るというのがどれほど心苦しいか分かるか!
仕方ない、こういう時の対処法としては机に突っ伏して寝たふりを決め込むのが一番だ。
早速寝たふりを始める。
「......」
長い間これをやっているのも虚しくなってくる。
やっぱり周りのガヤガヤが聞こえないようにトイレに行こうとしたとき、
「どうしたんだよお坊ちゃま、寝たふりなんかしてさ」
そう誰かに言われたのと同時に、背中を思いっきり押された。
「わ!」
何事かと思って後ろを振り向くと
「よ!今日は寝不足か?」
明らかに学園もののテンプレキャラである謎に主人公と仲いい不良少年みたいなやつが立っていた。
「え、えーと」
”俺”は初対面であるため安定のコミュ障発動。
「今日はどうしたんだよ、いつもより静かだな」
いつもよりってことは意外と陽キャ設定なのか?
でもこいつ以外には話しかけられなかったが。
「それよりも今日はまた栄那ちゃんと一緒に車で登校したのか?」
不良少年の言葉に数名の男子と女子が刃の牛、少し俺への目線が冷たいのは気のせいだろうか?
てかなんで女子まで?
「お前仲いいからってあんまり大胆過ぎたことするなよ?今日お前と栄那ちゃんが手をつないで登校しているのを女子たちがまるで親の仇のようにお前を睨みつけていたぞ」
だからなんで女子?
「栄那ちゃんはどっちかというと女子に人気があるタイプだからな。ファンクラブまであるんだぜ?なんで女子高行かなかったんだろうな」
そういうことか。
俺もよく百合系ラノベは読むが、その中に出てくる女子高の女王様的立場ってことか、栄那は。
「あんな行動しているとお前いつか刺されるぞ?」
そういう脅し文句は二次元で何回も聞いてきたが、女子に刺されるのはヤンデレもに以外に聞いたことない。
「あとお昼ご飯もなるべく校庭でするのはやめた方がいい。栄那ちゃんの権力なら二人専用の地下室とか余裕で作れるだろ」
そんなこともできんの!?
流石エロゲ、もう何でもありだな。
そんな会話をしているとホームルームのチャイムが鳴ったになった。
「おっと、もうそんな時間か、それじゃ夜崎また後でな」
そう言って自分の席に着席する不良少年。
...一応ホームルームにはサボらず出席するんだな。
普通エロゲの不良友達はめっちゃサボるというのが定番なんだがな。
そういえばあいつの名前まだ聞いてなかったな。
どうせテンプレの変わった名前してんだろうな。
「はい、それでは朝の出欠をとります」
担任は30代ぐらいの独身っぽい女性。
これも学園ものあるあるだな。
先生が次々と名前を呼んでいく。
俺は名前の戦闘がよのため必然的に最後の方になる。
「
不良少年の名前を呼ぶ先生。
...思ったより普通の名前だな。
「...夜崎澪未矢君」
「はい」
返事はしたものの、なんか俺の名前を呼ぶ時の先生の声が凄く冷酷に聞こえるんですが...
まさか先生も例の栄那のファンクラブに入ってるの!?
エロゲだからそういう設定も普通にありそう。
「えー今日の連絡は特にありませんが、最近世間で未成年同士の不純異性交遊が問題になっています。皆さんに恋愛をするなとは言いませんが異性とは節度を守った付き合いをしていきましょう。ね?」
最後のね?って明らかに俺の方向いて言ったよね?
ホームルームが終わり先生が出て行くと一時間目のチャイムが鳴った。
どうやら一時間目は数学のようだ。
意外と平凡な名前である不良少年こと
...どうやら不良少年ではないらしい。
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