許嫁がいるのに他のヒロインにNTRれるエロゲのクズ主人公に転生した話 ~NTRれずに各ヒロインを攻略しようとするもほとんどが激重系ヒロインだった件について~

北宮冬馬

エロゲの主人公に転生したってこと!?

「新作のエロゲまだかなー」




いつものように某アダルトサイトを眺めながらそう呟く。




「でも楽しみだな。オープンワールド型のエロゲなんて今までなかったからな」




つい最近、新作エロゲのトレーラーが公開されたのだが、なんとオープンワールド型となっているという。


エロゲは普通ノベルゲーというのが主流だが、とうとうオープンワールドにまで作りを広げるとは!




それに今回は主人公がNTRれる系のストーリーになっているらしい!


エロゲはなんだかだいって男が攻める話だったからM気質な俺としてはまさに神ゲーである。




そんな神ゲーをこの健全な男子大学生が買わないわけがない。




「でも発売日は定番のcoming soonだからなー」




今更だけどこの発売日がcoming soonってひどくない?


トレーラーを見て発売を待ち遠しにしているユーザーからしたら嫌がらせとしか思えない。




「さっさと寝よう」




明日も一限に抗議があるため早く眠くては。


テストの点があまりよろしくない俺からしたら出席点が命綱だからな。




「...エロイ夢を見られますように」




いつも通りにそんなくだらないことを願って眠りにつく。




...というのが昨夜の話。




今朝の俺は見たことがない部屋で目を覚ました。




「どこだここ?」




まず起きて俺が違和感を感じたのはベットだ。




明らかに俺がいつも寝ているベットよりも大きくて、何よりも綺麗だ。




「こんな豪華なベット寝てたっけ?」




違和感を感じながらも起き上がるとそこには見たことのない光景が広がっていた。




「...ずいぶんと広い部屋だな」




俺の自室よりも明らかに大きい部屋で俺は眠っていたのである。




壁にはところどころ絵飾りが飾っており、真ん中には大きいソファーとテーブルが置いてある。




「...とりあえずここは俺の部屋じゃないな」




部屋どころか多分ここは俺の家ではないだろう。




「てか今何時!?」




慌ててスマホで時間を確かめる。




「あれ?」




ホーム画面には7:00と表示されていた。




いつもならギリギリである8:00とかに目が覚めるのだが。


もしかして俺自身も何か変わっているのか?




そう思うと不安になり、部屋にある鏡で自分の姿を確認する。




「...誰だこれ?」




鏡に映された自分を見て思わずそう呟く。




まず顔がなかなかの童顔になった。中学生にしか見えない。




次に体つきだが...


とりあえず大学生の体つきには見えない。高校生ぐらいだろうか。




身長はあまり変わらず170ちょうどくらいだな。


...なんか腹立つ。




まぁこれらのことからわかることは俺が高校生になったということだろう。




「.....」




沈黙すること10秒。




「どうなっとんじゃこりゃあーーー!!」




大声でそう叫んだ。




「まずここどこだよ!?確か俺って家賃5万ぐらいのワンルームに住んでなかったっけ!?」




まぁ嬉しい気持ちも当然あるが。




「それになんで高校生に戻っているんだ!?あれか、俺が低偏差値の大学に入ったからもう一回受験やり直せっていう学歴厨の嫌がらせってことか!?」




もう一回受験勉強し直せって?冗談じゃない!




「!そういえばパソコンは!?」




一番大切なことを忘れていた。


小さいころから一緒にいた唯一の友達を忘れるなんて!




部屋中を探し回るが




「ない!ない!どこにもない!」




俺のアダルトサイトが!


俺のエロ画像が!


俺のエロ動画が!


俺のエロゲが!


俺の青春が!




「どこにもなーい!」




さっきまではこんな豪華な部屋で暮らせるならそれもありだなって気がしていたが、今ではそんな気は微塵も感じない!




「早く俺を自宅に帰らせろ!」




俺が喚き散らして暴れていると




澪未矢れみや様?起きていらっしゃるのですか?」




「え?」




部屋のドアから美声が聞こえてきた。




澪未矢れみや様、入ってもよろしいですか?」




「え、い、いや」




俺のヘタレモードが発動したため返事をすることはできず、その美声の持ち主が入ってきた。




「っ!」




ある程度予定をしていたが、どうやらメイドのようだ。


メイドというだけで俺のような男子大学生は反応してしまうが、何よりスタイルがよすぎて見惚れてしまう。




澪未矢れみや様、そろそろ登校のお時間です。制服に着替えられ、下までお越しください」




「あ、はい」




それでは。とお辞儀して部屋を出て行くメイド。




「ん?ちょっと待てよ...?」




高校生、豪邸、メイド、澪未矢れみや...




「あ、これあの新作エロゲの主人公に転生してるわ」




素直に納得した。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る