第8話 洋食の日/『生涯忘れられない味』

初デートは老舗洋食店だった。

貴方は緊張の面持ちで「ハヤシライスが絶品です」と勧めてくれた。

「ここのデミグラスソースを超える味には、まだ出会っていません」


あれから50年……未だに出会っていないし、もう生涯味わうことはないだろう。

店主も主人も天国へ行き、私はつまらないレトルトを温める。




◆8月8日は「洋食の日」/2023年8月8日作

#140字小説『生涯忘れられない味』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る